2012.10.22

【日本代表】長谷部誠「南アW杯以降、
成長の度合いが選手個々で違い過ぎる」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 ザッケローニ監督が就任以降、日本はアジアではトップクラスであることを証明し続けてきた。W杯最終予選でも首位を独走しているが、世界における日本の立ち位置は見えていなかった。それだけに、今回の欧州遠征はその目安をはかる絶好の機会であり、その期待値は高かった。しかし結果は、フランスには勝ったものの、内容が振るわず、ブラジル戦は0-4という思わぬ完敗を喫した。その現実は、さすがにショックだったのではないだろうか。

「いや、正直ショックはありません。(2009年9月に)オランダとやったとき(0-3と完敗)のほうが、手も足も出ないな、という感じでした。この2戦はそういう感覚はなかったですから。でもそれは、オランダとか世界のトップクラスに追いついたということではなく、トップクラスとの距離が少し縮まったというだけ。その距離を、ブラジルW杯までにどれだけ埋められるのか。それを考えると、かなり焦りはありますが、その距離感を今回つかめたのは、大きな収穫だったかなと思います」

 南アフリカW杯が終わったあと、長谷部は「これからはもっと個の力を伸ばしていく必要がある」と語っていたが、その点についてはどうなのか。ブラジルという世界屈指の個の力があるチームとの対戦で、日本の個という面での成長は感じられたのだろうか。

「2010年の南アフリカW杯から、日本代表の成長はすごく実感しているし、個も成長していると思います。ただ、個の成長の度合いが(選手によって)違い過ぎるというのはあります。どんどん上のレベルまでいっている選手がいる一方で、僕自身は成長というのはほとんど感じていない。だからこれから先、もっと個を伸ばしていけるようにがんばっていかなければならないと思っています」

 とはいえ、長谷部の所属クラブ内に置ける状況は、欧州遠征後も変わらず、8試合連続でベンチ外となった。ブラジルW杯までわずか1年半しかない中で、自らが成長し、日本代表がW杯で結果を出せるようなチームに完成するのだろうか。

「(本田)圭佑や(長友)佑都は、W杯優勝を公言しているじゃないですか。そこに温度差じゃないけど、難しさを感じているのは確かです。僕は(所属クラブで)試合にも出られていないので……。そうした状況にあって、世界のトップを目指すというのは、現実的なことではないな、と。けれども、監督も『W杯でいい結果を出す』と言っているし、常に試合に出て、いい結果を出している選手は、その目標に向かって進んでいる。そこに、試合に出られていない僕や、他の選手たちも追いつけるようにやっていかないといけない。今から、どれだけ追いつけるか、そこが重要ですね」

 世界との見えなかった距離は明らかになった。だが、それを縮める方法論となる試合に、長谷部は出ることができない。これからも地団駄を踏むような時間が続くだろうが、長谷部はその窮地をどうやって脱していくのだろうか。

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