【日本代表】長谷部誠「南アW杯以降、成長の度合いが選手個々で違い過ぎる」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 長谷部個人に限らず、チームも前半は何もできなかった。代表キャプテンとして、チーム自体の戦いぶりはどう見ているのだろうか。

「(フランスの)前半のプレイが、世界のトップだと普通にやってくるレベルだと思うので、そういう時間帯に自分たちのサッカーがどれだけできるのかが重要だった。でも、挑んだけれども、跳ね返された。相手の力にやられましたね。相手の潰しが非常に早かったし、1対1の局面ではほとんど負けていた。セカンドボールもすべて相手に拾われていた。なんか、アジアでの戦いぶりとは立場が逆転したような試合でした。後半は良くなったとはいえ、公式戦になれば、前半のような戦いをフランスも90分間通してやってくる。そうしたら、今回と同じようにはいかない。そういう意味では、個人としも、チームとしても、大きな差があるな、と思いました」

 フランスは後半、選手交代によってバランスを崩した。それが、日本が盛り返す要因になったのは確かだろう。しかし、少し前の日本であれば、その隙さえも突けなかったに違いない。左サイドで長友佑都、香川真司、乾貴士らの絡みから何度かチャンスを作り、後半43分にはカウンターから香川がゴール。フランスを見事に下したが、長谷部の口からは厳しい評価が続いた。

「得点シーンは、相手のセットプレイからですからね。ああいう形で決まるのは、かなり稀(まれ)なこと。もし自分たちがカウンターを狙うのであれば、もう少し高い位置でボールを奪って攻めるほうが現実的だと思います。いずれにしても、ポゼッションにしろ、カウンターにしろ、高い位置で戦うことが必要。監督も試合後、立ち上がりで『ラインが下がってしまった』と指摘していた。そこで、勇気を持って押し上げて、前で弾かれてもセカンボールをきっちり拾う覚悟を持って戦わないと、自分たちの持ち味は出せないと思います」

 試合に勝ったこと自体はよしとしつつも、長谷部は相手のプレッシャーが厳しかった前半に、何もできなかったことが不満だったのだ。

 だが、続くブラジル戦は違った。フランス戦の教訓が生かされたのだろう、選手たちは相手を恐れずに前に出て行った。

「ブラジル相手でもボ-ルを回せたし、チャンスを作れたことは大きかった。ただ、前にボールは運べたけど、ペナルティーボックス内では簡単に勝負させてくれなかった。そこは堅いな、と思いましたね。フィジカル的な点を除けば、ブラジルはフランスより、サッカーの質も、レベルも高かった。特にフランスとの違いを感じたのは、中盤の選手がボールを持って長い距離を走れること。カカやラミレスとかも自分でボールを運べて、しかもひとり、ふたりとかわして前に行ける。それを、自分たちはほとんど止められなかった。本当はそういう役割を自分がやらなければいけないのに、と痛感させられました」

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