【日本代表】遠藤保仁「日本の形を作って2連勝して帰る」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 攻撃は、自分としてはフランス相手でも五分五分のポゼッションでいけると思っていたから、できるだけ自分たちのリズムを長くして、チャンスをたくさん作りたいと思っていた。でも前半は、それがほとんどできなかった。前でキープするのに苦労していたし、ミスして奪われることが多かったので、サイドバックがいつものように高い位置を取れなかった。ボールを奪っても、ラインが低かったから前にうまく運ぶことができず、たとえ運んだとしても(前に)急ぎ過ぎてしまって、バイタルエリアに入ったときに(相手DFに)引っ掛けられて、取られてカウンターというシーンが何度かあった。こうしたミスをなくすのはもちろん、もうちょっと落ち着いてボールを回していかないと、自分たちのリズムにはなかなかならないですよ。

 幸いなのは、自分だけじゃなく、みんなもそう思っていること。試合後、『今日のフランスならもっとやれたのに......』と、みんな口をそろえていたからね。その気持ちがあれば、もっとチームは成長きると思う。ここまでやってきたことは間違っていないので、あとはパスの精度や動きの質を高めて、こういうアウェーの中でも臆せずにボールを奪い切ることができれば、どんな強豪相手でもいい勝負ができると思う」

 フランス戦での収穫は、勝ったことで多少の自信を得たことと、課題を明確にできたことだろう。次のブラジル戦では、それを生かすことができるかがポイント。浮き彫りになった課題の修正能力を含めたチームの底力が今度は試されることになる。

「ブラジルはフランスと違って、ほぼ個人技で勝負してくる。ネイマールら前線の選手だけがいいのではなく、守備の選手も非常に個々の能力が高い。間違いなく、フランス戦よりも苦しむと思う。けれども、フランス戦の後半のように、自分たちのプレイに自信を持って、ミスを恐れずにトライすることが大事。まあ、自分たちのチームには、(相手に)びびってしまうような選手もいないし、フランスとの試合で世界と戦う感覚を(みんなが)思い出したと思うので、自分はそれほど心配してはいないですけどね。

 チームとしては、"スムーズにボールを回して"という、いつもの攻撃の形を作っていきたいですね。フランス戦ではカウンター以外で崩すことができなかったから、ブラジル戦はしっかりとポゼッションして、ボールを回しながら崩すという形を1本でも多く増やしていきたい。そして、1点でも多くのゴールを奪いたい。マジで、2連勝して日本に帰国したいな、と思っていますから」

 はたして、2試合連続の金星獲得はなるか。10月16日(日本時間21時10分)、欧州遠征第2戦のブラジル戦に注目したい。

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