【日本代表】マンUで苦闘続ける香川真司。「ブラジル戦できっかけを作りたい」 (2ページ目)

  • 了戒美子●text by Ryokai Yoshiko
  • 藤田真郷●photo by Fujita Masato

 その分、代表の欧州遠征で自分に課すものは大きくなった。

「本当に(マンチェスター・ユナイテッドは)厳しいチームですし、もちろんいろいろな葛藤があるのは事実です。事実だからこそ、僕は今、やっぱり結果を求めていたし、なにかきっかけを作りたかった」

 試合はワールドカップ予選ではなく、勝利や勝ち点という結果が義務づけられたわけではない。むしろ14年の本大会に向けて、強豪国相手にアウェーで何を経験できるか、どんな内容の試合をするかが今回のテーマだろう。だが、香川にとっては違った。

「きっかけになるのはゴールであって、それを残せたことで次への自信につながる。ゴールを決めることで自信をつかむやり方はドルトムント時代から変わらない。ゴールっていうのはやっぱり本当に選手の自信を深めてくれる。そういう意味では良かったですけれど、ただ、もっともっとやらなければいけないことはたくさんあるし、満足はできないかなと思います」
 
 香川が自ら求めた結果を手に入れたことに間違いはない。だが、香川には満足感も安堵もないようだ。気の毒なほどにストイックなテンションで言葉を繰り出した。

「ブラジル戦でまた結果を残さないといけないですから。その後はまたマンチェスターに帰るし、1試合だけでは今の自分には足りないんです。次も相手はブラジルですから、勝ったらさらに自信につながる。それを求めているので、本当にきっかけをつくって帰りたいなと思います」

 ゴールを渇望するのは、それが自分を精神的に支える礎(いしずえ)になるからだ。ゴールだけがその役目を果たしてくれる。ブラジル戦、香川はその礎をさらに強固なものにすることができるだろうか。


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