2012.10.15

【日本代表】もっとやれたフランス戦。11年前とは時代が違う

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 フランスを日本に置き換えて考えると分かりやすい。アジア最強の敵、たとえば韓国との大一番を直後に控えた格下との親善マッチに、ベストメンバーを送り込むようなことをするだろうか。ザッケローニならやりかねないといわれそうだが、常識的にはコンディション調整こそがその試合の最大の目的になる。

 もちろん言い分は日本側にもある。本田を怪我で欠いていたこと。それから基本的な話になるが、アウェー戦であるということだ。しかし、言い訳がどちらに多く存在したかと言えば、フランスになる。

 メンバーを6人替えれば、それにつれて組織力が低下するのは当たり前だ。穴はできる。そして日本はそこにつけ込み、ゴールを挙げた。「フランスの後方にスペースが生まれていたので、スピードに特徴のある選手をそこに配した」と、ザッケローニも試合後に語っている。日本の勝利は、采配が功を奏した作戦勝ちと言えるが、これは真剣勝負の舞台では生まれにくいもの。終盤にこれほど大味な試合をする強者はいない。

 一方、言い訳できない要素も存在した。フランスにとっては、とはいえホーム戦だ。ホームの敗戦は恥。いかなる理由があろうとも、好ましい話ではない。この0-1は0-2にも値する。やはり強者としてこれは情けない話になる。だが、フランスはもはや強者にあらずと解釈すれば、話は変わってくる。

 フランスははたして強者なのか。「歴史的勝利」は、相手を強者と見なすから生まれた言葉だ。日本が今回と同じスタッド・ドゥ・フランスで0-5で敗れた11年前を基準にすれば、フランスはバリバリの強者である。だが、現在のフランスは、当時に比べて明らかに落ちる。11年前を10とすれば7。力は急降下している。

 それは前半の戦いを見れば明らかだ。フランスは日本を圧倒的に押していた。惜しいシーンもかなりあった。だが、僕は、開始5分で安心した。大差で敗れることはない。競った試合になる、と見た。理由はフランスの攻撃のリズムに、日本の動きが合っていたからだ。リズムを大きく崩されることはなかった。日本の選手は、押されてはいたが慌ててはいなかった。11年前のようなパニックに陥るようなことはなかった。

 理由はフランスの攻撃のリズムがきわめて単調だったからだ。各選手の動きはどこか機械的で抑揚がなく、意外性に乏しかった。ゲーム運びにも巧さがなかった。デシャン監督の現役時代のようなプレイをする選手が1人も存在しないからだ。