【ヤングなでしこ】 佐々木監督も認める才能。藤田のぞみが世界の舞台で体得したバランス感覚

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

素顔の撫子 vol.25
U-20女子W杯でキャプテンとしてチームをまとめた藤田のぞみU-20女子W杯でキャプテンとしてチームをまとめた藤田のぞみ
 ヤングなでしこが史上初の銅メダルを受賞したU-20女子W杯から1カ月が経とうとしている。選手はそれぞれの所属チームに戻り、日々の競争に全力を投じている。

 ヤングなでしこの主力メンバーも、所属チームでは出場機会を得られていない選手は多い。代表経験のあるベテランや中堅との競争で、頭ひとつ抜け出すのは簡単ではない。その中で、クラブでの定位置確保に闘志を燃やす選手のひとりが浦和レッドダイヤモンズレディースの藤田のぞみだ。

■島根県から世界へ。U-19アジア選手権ではMVP獲得

 藤田がサッカーを始めたのは、父と兄の影響が大きかった。小学校1年のころから父親が教えている地元のクラブチームでプレイし、男子と一緒に練習する機会も多かったという。

 中学では部活と社会人女子チームを掛け持ちするなどサッカー漬けの日々を送り、中学3年でU-16日本代表に初選出された。そのポテンシャルを見出したのは、現なでしこジャパンの佐々木則夫監督だった。

「佐々木監督が中国地方のトレセン視察にわざわざ島根県まで来てくれて、その後に(U-16代表に)呼んでくれたんです。あの時佐々木監督が来てくれていなかったら、レッズにも加入していないと思いますし、すべてがなかったと思います」

 中学卒業後は高校女子サッカーの強豪、日ノ本学園高校に進学。2009年夏には、U―19アジア選手権に17歳で出場して優勝。決勝ではMVPに輝くなど存在感を見せつけた。

 高校卒業後の2010年、レッズレディースの一員となった藤田は、同年のリーグカップ決勝で大きなインパクトを残した。大野忍、近賀ゆかり、岩渕真奈といったなでしこジャパンのメンバーを擁するベレーザに対し、藤田はトップ下で出場すると攻撃の核として活躍。広い視野と正確なボールコントロール、柔らかいタッチから繰り出されるパス、152㎝と小柄ながら相手の重心を利用した巧みなボールキープなど、その才能をいかんなく発揮した。

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