【日本代表】サンドニで見せた確かな成長。なぜフランスの猛攻を跳ね返せたのか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

前半から劣勢に追い込まれたが、守備陣も踏ん張って勝利をつかんだ photo by Matsuoka Kenzaburo前半から劣勢に追い込まれたが、守備陣も踏ん張って勝利をつかんだ photo by Matsuoka Kenzaburo
 だが、その一方でフランスの側に立って見れば、最後の最後を押し切れるだけの強さがなかったのも事実である。前半30分過ぎにして、早くも地元サポーターが苛立ちのブーイングを発したのは象徴的だ。

 吉田が語っているようにフランスの武器はサイド攻撃だったが、言い換えれば、それだけだった。フランスが単調な攻撃を繰り返すだけなら、日本が守り慣れていくのも当然のこと。試合の経過とともに、負けはもちろん、引き分けで終わるのさえ、少々もったいないと感じるような試合展開になっていった。

 対照的に日本は、後半に入ると落ち着いてボールをつなげるようになった。今野は言う。

「流れが変わったのは後半。ハーフタイムに、みんなで『もっと回せる』と話していた」

 敵陣でボールを落ち着いてつなぎ、フランスゴールへ迫る。そんなシーンが少しずつだが確実に増え、そのことが結果的に落ち着いてプレイすることにつながり、守備にも強さをもたらしたと言えるだろう。

 そして最後は、今野が「すばらしかった」と自画自賛したカウンターから香川真司の決勝ゴールが生まれ、勝負は決した。もはや奇跡と呼べるほど日本とフランスとの間に力の差はないが、それでも歴史的一勝と言っていい金星である。

 もちろん、手放しに喜べる勝利ではない。

 一方的に押し込まれたのは事実だし、立ち上がりはもちろん、フランスがリベリーを投入した試合終盤にもまた、危ういシュートを何本も浴びた。GK川島永嗣のスーパーセーブがなければ、結果はどうなっていたか分からない。

 また、この試合は、あらためて本田圭佑の存在がクローズアップされた試合でもある。

 現在の日本代表には本田、前田遼一という、前線でボールを収められる選手がふたりいることが強みである。彼らがいることによって、全体を押し上げることができるし、攻撃に厚みも作れる。ところが、本田に加え、前田も欠いたことで、まったく前線にボールを運べないという事態に陥った。

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