【日本代表】駒野友一「オシム監督のときより緻密なサッカーをしている」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

10月の欧州遠征が、今の日本代表にとって大事な試合になると語る駒野。10月の欧州遠征が、今の日本代表にとって大事な試合になると語る駒野。 指揮官が求める戦術を消化し、なおかつ自分のカラーを出していく――。代表で生き残るには、そうしたバランスが必要になる。その点、駒野はクロスという傑出した武器を持つ。その精度は、日本のサイドバックでは随一だろう。

「クロスは、自分の売りですからね。そうやって言えるのも、若い頃、練習したからです。昔は自分が納得するまで、1日50本ぐらい蹴ったこともありました。基本的に、相手にとってはGKとDFの間に取りづらい、味方にとっては走りながらでも合わせやすい、ボールを入れていこうと思っています。それと、選手の個性に合わせられるようにしています。例えば、ゴール前に突っ込んでいく選手なら、その動きとスピードに合わせてクロスを入れていますね。あと、クロスだけではなく、自分は中に切れ込んで積極的にシュートも打ちます。両足で蹴れるので、それも自分の持味だと思っています」

 今の代表は、サイドアタック、中央からの崩し、セットプレイ、高速カウンターと、ゴールのバリエーションが実に多彩だ。南アフリカW杯ではセットプレイとカウンターしか攻め手がなかっただけに、わずか2年での成長を、駒野はどう感じているのだろう。

「今、これだけ点が取れているのは、単純に個人の力がついたからだと思います。前線の選手はボールを持てるし、個人でも局面を打開できる。それを周囲がサポートしたり、オーバーラップしたりして、2次攻撃につなげるなど、コンビネーションで崩すこともできる。相手にとって、嫌なことができていると思いますね。イラク戦のように、引いた相手には苦しむことはあるけど、どうにもならないという感じではありません。仮に失点しても、取り返す力があるというか、何かをやってくれそうな雰囲気が、このチームにはあるんですよ」

 そう語る駒野の表情からは、チームに対する信頼と自信が見て取れた。チーム作りが理想的な形で進んでいる証拠だろう。

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