【日本代表】駒野友一「オシム監督のときより緻密なサッカーをしている」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 前述のとおり、駒野はドイツW杯、南アフリカW杯の2大会を経験し、その間、ジーコ、オシム、岡田武史と3人の監督のもとでプレイしてきた。彼ら3人の監督とザッケローニ監督とを比べて、いちばん異なるのは"要求の細かさ"だという。

「オシム監督のときも攻守における約束事はありましたけど、ザッケローニ監督はそれ以上に細かいです。特に守備面で指示されているのは、最終ラインのしぼりと体の向きですね。しぼりについては、逆サイドにボールがあるときはセンターバックふたりと自分の3人で守れと言われています。センターバックとの距離に関しても『10mはダメだ。常に7、8mの距離を取るように』と明確な指示を出されます。体の向きは、例えば相手が左サイドから、つまり自分の守る右サイドを攻めて来た場合、自分はセンターバックと向き合おうような感じで守ります。(ゴール前への)スルーパスのケアを最優先しているからです。そんなふうに、練習では細かく指示がありますけど、試合になれば自分の体に染み付いた癖もあるので、その感覚を大事にしています」

 体の向きについては、守備にとどまらず、攻撃においても厳しく指示されるという。

「攻撃でも、練習中は体の向きのことをかなり言われます。自分の前にいる中盤のサイドの選手の体の向きを見て、体の向きが外を向いているときはサポ-ト、内側を向いているときは上がれと指示されています。体の向きについて、これほど事細かく指示があるのは初めてですね」

 ザッケローニ監督は、練習中では綿密に時間をかけて戦術を説くが、試合になれば細かいことは言わないという。それでも、体の向きひとつでこれほど詳細な指導があるのであれば、戦術的な要求が厳しいのは容易に察しがつく。

「今は全体のラインを高くしているので、(相手に)ロングボールを蹴らせないような対処をしているし、その際の(相手への)プレッシャーのかけ方にしても細かいやり方があります。だから守備のときは、センターバックのふたりと頻繁に話をしながら、ポジショニングなど常に確認をしています。あと、(ボールを持った相手に対する)囲み方が、過去に経験したことのないやり方でした。詳しくは言えませんが、ちょっと特徴があるんです。イタリア人の監督は、守備には厳しさと規律を求めるんだな、と実感しましたね」

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