【日本代表】フランス戦とブラジル戦。カギを握るのは本田、香川ではない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 だが、このところ2人の調子はいまひとつだ。1年前、この2人は多くの人から絶賛されていた。日本代表を支える2人といわれたものだが、いまその点を敢えて口にする人はいない。不安げに見つめる人の方が勝っている。中でも辛い立場に立たされているのが長谷部だ。ボルフスブルクで戦力外の扱いを受けているハンディを補うのは簡単なことではない。プレイする機会は代表チームのみ。9月のイラク戦でも、前と後ろを繋ぐ潤滑油としての役を果たせていなかった。試合勘がないといわれても仕方がない出来だった。

 一方の遠藤も存在感は薄かった。かつて代表チーム全体の動きは、遠藤の一挙一動と大きな関係があった。遠藤のボールタッチがリズムの源になっていた。そうした意味で遠藤は代表チームの中心だった。影響力の強い選手だった。だがいま、その役は本田になりつつある。

 本田が優れた選手であることは間違いないが、リズムの源は全体図が見通せる後ろ目のポジションで構える方が望ましい。

 そうした意味で存在を見直したくなるのが今野だ。元守備的MF。その特性を最終ラインで地味ながら発揮することができている。その何気ないボール操作によってチーム全体が妙に落ち着く瞬間がある。新たなリズムが生まれる瞬間がある。

 想起するのはバルサのマスチェラーノだ。バルサのパスワークの起点は、彼の元守備的MFらしいボール操作にあるといってもいいほどだ。

 遠藤、長谷部そして今野が、どれほどいい味を出すか。全体を掌握するプレイができるか。同じくパスワークを売りにする日本の起点になれるのか。フランス戦、ブラジル戦に共通するポイントだと思う。

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