【日本代表】フランス戦とブラジル戦。カギを握るのは本田、香川ではない

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

2006年6月22日、ドイツW杯グループリーグ最終戦でブラジルと対戦した日本は1-4で敗れた。写真はロナウドの突破を止めようとする稲本と中澤2006年6月22日、ドイツW杯グループリーグ最終戦でブラジルと対戦した日本は1-4で敗れた。写真はロナウドの突破を止めようとする稲本と中澤 日本代表がキチンと戦えば、試合は面白くなる。フランス、ブラジルに競った試合ができる。日本のレベルが上がったこと。日本のサッカーが「守備的」だったかつてから「普通」になったこと。そしてフランス、ブラジル両国が右肩下がりにあること。これらを勘案すれば大敗する可能性はきわめて低い。

 フランス戦はアウェー戦。だが海外組にとっては浮き足立つような舞台ではない。0-5で大敗したトルシエ時代とは選手たちの経験も違う。

 フランスがかつてより落ちる理由は、ゲームをコントロールする力が落ちたことだ。デシャン、マケレレ、プティ、ビエラのような、ゲームの流れを読み、戦い方を調整する選手がいないのだ。それはアフリカのチームがW杯本大会で期待されながら上位にこられずにいる姿に似ている。アフリカ系のアスリートタイプ中心のサッカーの弱点を垣間見ることができる。

 ブラジルについてもフランスと全く同じことが言える。いわゆる「ボランチ」が「操縦桿」の役目を果たせずにいる。したがって試合運びに安定感がない。抑揚のない単調さが目立つ。頭脳的ではない。もっと悪くいえば賢くない。
 
 喜怒哀楽の激しい情緒不安定なサッカーといってもいい。いい時はいいが、いったん流れが悪くなると止まらなくなる。

 日本の狙い目はここだ。個々の力で劣る日本が、フランス、ブラジルに食い下がろうと思えば、試合を読む力で対抗するしかない。勢いに任せた出たとこ勝負はいけない。キープレイヤーは本田でも香川でもない。遠藤と長谷部だ。この2人がどこまで自分のプレイ以外にも目を配ることができるか。「操縦桿」をしっかり握ることができるか。それができれば恐れるに足らず。好勝負に持ち込めそうな気がする。

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