【日本代表】欧州遠征はチャンス。フランス、ブラジルは怖くない (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ブラジル、アルゼンチンについてもそれは言える。アルゼンチンとは、ザック監督就任初戦で対戦したときにそれを感じた。1-0で日本が勝った理由は、日本が健闘したからだけではない。アルゼンチンにかつての威光がすっかり消えていたことも等分に関係している。

 フランスに続いて対戦するブラジルにも、かつての威光を拝むことはできない。結果的に日本との差は詰まっている。日本がブラジルと対戦した最後の試合は06年ドイツW杯。玉田のゴールで先制したものの、その後、立て続けにゴールを奪われ1-4で大敗した一戦だ。当時のブラジルの力も、W杯で優勝した02年の時より落ちていたが、いまはその6年前よりさらに落ちている。

 ブラジルの症状もフランスに似ている。ゲームをコントロールするかつてのドゥンガやマウロ・シウバのようなクレバーなタイプの選手がいないのだ。フル代表に近い布陣で戦ったロンドン五輪のチームを見れば一目瞭然だ。決勝でフル代表にはほど遠いメンバーで戦ったメキシコに敗れた理由は、仕切り屋不在に他ならない。試合巧者はメキシコの方だった。

 準決勝の韓国戦(3-0)も、盤石の勝利では全くなかった。06年W杯で日本に逆転勝ちした試合より安定感はなかった。

 日本の善戦健闘は十分期待できる。勝てるとは言えないが、いい勝負はできる。日本がキチンと戦ったならば。

 世界のトップは伸びていない。そうした意味で日本はチャンスなのだ。そしてそれを自覚することが、いまの日本にとってなにより大切なことだと思う。最大W杯ベスト4も夢ではない、とは僕の個人的な見解だが、来るフランス戦、ブラジル戦では、この感触をぜひつかみ取って欲しいものだ。チャンスを自覚することによりチャンスは拡大する。僕はそう思う。

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