【なでしこ】U-17W杯で日本は優勝できるか?注目の「リトルなでしこ」たち (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 さらにFWの増矢理花(JFAアカデミー福島)はゴールへの嗅覚抜群のストライカー。ゴールだけでなく、相手DFを引き連れてサイドへ開き、スペースを作る動きにも長けている。そうしてできたスペースに2列目やサイドバックの選手が飛び込んでフィニッシュを狙い続けることができるのがこのチームの強みだ。

 そしてもうひとり、独特のリズムを持つ軽快なドリブルでチャンスメイクからゴールまで、相手の脅威となる選手が成宮唯(JFAアカデミー福島)だ。

 昨年のAFC U-16アジア選手権では、なでしこジャパンのW杯優勝に刺激を受け、憧れの澤穂希と同じように"有言実行"で優勝とMVPを手にした。

「今回の"有言実行"も昨年と同じです。このワールドカップで優勝することと、大会MVPを獲ること。(今年開催される)最後のカテゴリーの"なでしこ"として、プレッシャーもあるけど、みんなのモチベーションも高いので楽しみです」と、有言実行の世界一を狙う成宮。アジアの頂点に立ち、自身もその活躍を認められた。それでも、成宮は満足どころか、納得などしていなかった。

「アジアで優勝はしたけど個人的には全然ダメ。悔しい思いを残した大会だったんです。だから今回は、とにかく"世界で通用した"っていう実感が欲しい。それだけです」

 この一年、『シュートへの意識が低い』と監督から言われていた課題に取り組んできた。今は、ゴールが見えたらシュートを打つ貪欲な姿勢を身につけた。世界で試したい密かな野望もある。

「ひとりで何人突破して打開できるか、やってみたい。よくクリスティアーノ・ロナウドの映像とか見るんです。もちろんレベルは高いけど、相手の逆を取れば何人でも抜けないことはないかなって思える。サイドでしっかり受けて、勝負していきたいです」

 そんな成宮に吉田監督も期待している。初戦を翌日に控えたトレーニングではとくに攻撃の展開について、成宮に激しいゲキが飛んでいた。

 チームではキャプテンも務める成宮。W杯は簡単に勝ち進める大会ではない。厳しい立場にも、苦しい環境にも立たされることがあるだろう。それでも、決勝までの計6試合を経験することは何にも代えがたい貴重な時間だ。絶好の成長期であるU-17世代の選手たちに必要な世界を相手に戦う試合数は多ければ多いほどいい。

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