【名波浩の視点】イラク戦でも課題克服ならず。2点目が取れない理由 (3ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 2点目が奪えない要因としては、手間をかけるプレイが少し多いからではないだろうか。横パスがひとつ多いとか、ボールタッチが1回多いとか、そういうシーンがイラク戦でも何度か見られた。ボールタッチで言うと、クロスの際に「今、ボールを上げればいいのに」というところで、さらにもう1度持ち直したりして、それがCKになる場面が結構あった。結局、イラクは後方に重心が偏っていたチームだけに、日本の手間が多かった分、守りやすかったと思う。

 選手にしてみれば、ボールを失いたくないという怖さがあるだろうし、ここでボールを失ったら危険だから、より正確にプレイしようという判断もあるのだろうが、シンプルなプレイをもっと心掛けるべき。実際、得点シーンを見ても、シンプルな形から生まれた。駒野のスローイン、前田の飛び込むタイミングがパーフェクトだったこともあるが、手間がかかっていたのはスローインを受ける岡崎の相手との駆け引きくらいで、それぞれのプレイは至ってシンプルだった。後半、清武のクロスから本田が決定的なヘディングシュートを放ったシーンも同様だ。

 そうした展開を増やすには、まずは選手が意識すること。そして、遠藤がスムーズにボールを動かせる形を作れるかどうか。イラク戦では敵の極端な対応があって仕方のない部分があるけれども、遠藤がもっとリズムよくボールを動かしていれば、チーム全体のテンポも速くなって、よりシンプルな攻撃ができていたと思う。それは、遠藤だけの問題ではなく、チームとしてそういう形を常に構築していくことが大切になる。

プロフィール

  • 名波 浩

    名波 浩 (ななみ・ひろし)

    1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍

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