【ヤングなでしこ】銅メダルは通過点。選手たちの視線はすでに「なでしこジャパン」へ (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

“ここ”はあくまでもU-20世代であること、自身の課題、この大会の意義――すべてを理解したうえで、彼女たちはすでに次の目標に走り出している。これまでのユース世代と大きく異なる印象を持ったのはここだ。

 その根底にはやはり、“なでしこジャパン”の存在があることは間違いない。猶本は昨年のW杯ドイツ大会優勝時の澤穂希の存在に強い影響を受けた。

「ボランチでも、得点王になれるんですよね?」彼女がそう聞いてきたのはこのU-20女子W杯の予選となったAFC U-19女子選手権前のことだった。この大会、猶本はチームの中で年下であることを感じさせないくらいの大声で、臆することなく仲間に指示を出し続けた。“なでしこジャパン”の信念は直接語り合うことはなくても、こうして下の年代に受け継がれているのである。

 今大会のヤングなでしこの戦いで、フィジカル勝負に持ち込まれても、懸命に立ち向かう彼女たちの姿に思わず見入ってしまった人も多いのではないだろうか。

“なでしこ”の種は確実に芽吹いてきている。この世代が持っている、明るく、物怖じしない個性を伸ばしながら、さらに成長を続けてほしい。何年か後、再びブルーのユニフォームに袖を通すことができたとき、彼女たちは“なでしこジャパン”として、想像をはるかに超えるプレイを見せてくれるに違いない。

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