【ヤングなでしこ】銅メダルは通過点。
選手たちの視線はすでに「なでしこジャパン」へ

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

「後半苦しいところもあったんですけど、それにどう対応するかはドイツ戦で学んだので、崩れなかった」と振り返った土光は「レベルの高い中でできたことは自信になる」と語った。土光はひとつカテゴリーを上げてこの大会に臨んでいた。本来、9月下旬からアゼルバイジャンで開催されるU-17女子W杯を戦う人材だが、守備陣のコマ不足と土光の実力を加味し、吉田弘監督が大抜擢したのだ。その期待に応えた彼女は6戦すべてに先発出場した最年少選手となったのである。

「失点をしたら慌てちゃたりするところもあって……。まだまだです。ピッチの中では学年は関係ないので、出るからには責任を持ってやろうと心掛けました。ドイツ戦でできなかったことができた3位決定戦はとても印象深い試合になりました」(土光)

 多くの課題は出たが、ドイツ戦での苦い経験もそれを克服しようと厳しい対決を制した3位決定戦を含め、この1カ月に彼女が経験したものはとてつもなく大きい。しっかりと今後につなげていってほしい。

 今大会は女子サッカー初の日本開催となる世界大会であり、直前のロンドン五輪でのなでしこジャパンの銀メダル獲得の流れを引き継ぐ形で注目された。もちろん、この状況がヤングなでしこたちの実力だけでないことは本人たちも承知しているはずだ。

 猶本はすべての戦いを終えた直後、「多くの応援は本当に力になった。でも、注目されることで緊張や不安もありました」とチラリと本音をこぼした。しかし、そこから何かをつかんでいったヤングなでしこたち。

「個人的には3位決定戦は今大会一番の出来の悪さ。それでもどんな形でも絶対に勝ちたかった。DFラインからパスを受けて前に供給できたのは収穫。でも、それができていたのは韓国戦まで。世界レベルの強い相手だとできなかった。ここから、みんなでまた一緒になでしこでプレイできるようにがんばりたい」猶本がそう語れば、横山久美は「ドイツ戦で世界の強さも知ったし、サッカーの楽しさも知った。6年近く一緒にプレイしてきた選手も多いし、本当にこのチームが大好き。これからは“なでしこ”が目標になる。まずはチームでしっかりとがんばりたい」と、誰もが視線は次のステージに向いていた。

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