【日本代表】凡戦は想定内。ザックが目前のイラク戦より重視したもの (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 その理由のひとつとして挙げられるのが、メンバーの入れ替わりであろう。

 そもそも、次のW杯最終予選イラク戦で今野泰幸、内田篤人が出場停止となるため、それぞれのポジションに伊野波雅彦、駒野友一(この日は左サイドバック)が起用されていたことに加え、清武弘嗣、酒井宏樹の五輪代表組がそろって先発出場。さらには、1トップにハーフナー・マイクが入ったことで、従来の主力メンバーのうち、およそ半分が入れ替わっていたことになる。駒野が「プレスのタイミングがズレて連動できず、全体として守る時間が長かった」と振り返るように、チームとしての機能性は著しく欠けていた。

 同じことは、攻撃についても言える。

 これまでの前田遼一ではなく、ハーフナーが1トップに入ったことで、この試合では長谷部曰く、「足もとへのポストプレイのパスよりゴール前へのクロス」を優先し、サイドから崩そうという狙いがあった。しかし、両サイドMFの香川真司と清武が中に入ってきてしまうことが多く、効果的な崩しは見られなかった。

 2列目に並んだ香川、本田、清武はいくつかのチャンスを作り出したが、その一方で、3人が中央に集まってしまい、"渋滞"を起こすシーンも少なくなかった。

 最終的にハーフナーの決勝点が決まったのは、本田に代わって中村憲剛が途中出場してからのこと。本人が「監督からは『外から攻めろ』という指示だった」と話したように、中村は相手DFとMFの間でボールを受け、そこからサイドに散らすことでザッケローニ監督の狙いを実現したものの、試合全体を通して見れば、やはり狙い通りに攻撃を進めていたとは言い難い。ザッケローニ監督も「センターフォワードにマイクを入れたが、彼の特徴を生かせなかった」と振り返ったように、意図のはっきりしない場当たり的な攻撃ばかりが目立った。

 とはいえ、「結果よりも重要だったのは、選手のコンディションを見ること」とザッケローニ監督。その点については、「まずまず満足している」とも言った。

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