【ヤングなでしこ】仲田歩夢の被災地への想い。
「気持ちが伝わるプレイを見せたい」

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei /photo by Getty Images

――宮城では常盤木の生徒さんも来ていました。
「後輩が見ている前で、いいところを見せたいなって思いました。力むわけではないですけど、そういう思いはあるし、こういう選手になりたいなって思ってもらえるようなプレイをしっかりとピッチで出そうと思っていました」

――被災地でワールドカップが開催されたことについて、何か感じたことはありますか?
「やっぱり宮城で試合がしたかったですし、震災のことがあって、サッカー選手として、自分はまだ若いので何もできないですけど、サッカーというスポーツで何かを伝えられることがあればいいなというのは考えています。自分も震災当時宮城にいたので、そういう経験をしたひとりとして、気持ちが伝わるプレイを見せられるいい機会だと思いましたし、宮城で試合ができると聞いた時はすごくうれしかったです」

──なでしこの先輩も観戦に来ていました。
「応援してくれて嬉しいです。自分は足のケガのこともあったりして、チーム(INAC)のトレーナーから連絡があったり、気にしてくれているのも嬉しいです。その分頑張らなきゃなと思います。まずは足を直して、試合に間に合わせることだけを考えています」

――準々決勝、準決勝とベンチから試合を観ましたが、試合の感想を聞かせてください。
「チームメイトを信じて、応援するというよりは一緒に戦っている気持ちでした。私はケガがありましたけど、次の試合は間に合うと思います。」

――監督はどんな指示を?
「失敗を恐れず、下を向かずにどんどんやれということと、相手のペースに合わせずに自分たちのペースでやれということは言われています。そんな中でいつも通りやって、日本のいいサッカーが見せられたらと思います」

――INACでチームメイトの田中陽子選手も活躍していますね。
「陽子はどこにいてもいい仕事をしてくれて、何かをやってくれるんじゃないかなという思いはあります。陽子も乗っているし、いい感じで試合を決めてくれているので、(準決勝の前に)『次も頼むよ!』と伝えました」

――準々決勝、準決勝と2万人以上のお客さんが入ってどう感じましたか?
「会場の一体感みたいなものはすごく感じたし、その中で、チームも勢いに乗れますし、応援してくれる方がさらに増えてくれたら嬉しいです。とはいえまだ何も決まっていないので、気を抜かずに、次の試合に向けてもっともっとレベルアップできるように頑張ります!」

 国内で開催されているU-20女子W杯、日本は準決勝でドイツに完敗し、残すは8日の3位決定戦のみ。期待を集めるレフティーは、ピッチに立ち、ヤングなでしこのメダル獲得に貢献することができるか。注目の一戦は、8日の15:30に国立競技場でキックオフを迎える。

PROFILE
NAKADA AYU
1993年8月15日 山梨県山梨市生まれ。161cm
INAC神戸レオネッサ所属。MF。背番号13(U-20女子日本代表では6)
ふたりの姉の影響で小学校1年生からサッカーをはじめ、地元のフォルトゥナSCレディースなどでプレイ。高校は宮城の名門・常盤木学園高校に進学し、全日本女子サッカー選手権で2度の優勝、チャレンジリーグEASTで2連覇に貢献。各年代代表に選ばれ、2010年のU-17 女子W杯で6試合中5試合に出場し、準優勝に貢献した。2012年にINAC神戸レオネッサに加入。

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