2012.09.05

【日本代表】本田、香川、岡崎……豊富な2列目の人材を有効活用するには?

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Fujita Masato

現在の布陣を最もオーソドックな形に変化させるとこうなる 問題を少しでも易しくするためには、香川がマンUで適性の幅を広げることだ。1トップ下しかできないことは、マンUにとっても好ましい話ではない。3の左でも右でもプレイできれば、本人の出場機会はもとより、チームとしての選択肢が増える。戦術的交替の幅も広がる。マンUにおける香川のプレイは、そういう意味でも注目に値する。

 それは香川に限った話ではない。目を凝らすべきは、候補選手たちの適性だ。右なのか、左なのか、真ん中なのか。複数可能なのか。

 98年、02年W杯で戦術的交替を駆使し、オランダ、韓国それぞれのベスト4入りに貢献したヒディンクは、こちらのインタビューにこう答えた。
「実力が同じならば、ユーティリティ性の高い選手を優先する」

両サイドにスピードのある選手を配す方法も。この場合、本田を守備的MFにコンバートすることも考えられる W杯のベンチ入りメンバーはGKを除くと20人。 最長7試合を戦う人数として、これはけっして多い数字ではない。無駄は1人も作れない。全員が機能する戦力である必要がある。ヒディンクは招集した選手に、起用する可能性のあるポジションをすべて伝え、大会前の練習でそれをすべてテストしたという。実現可能な選択肢を探ったそうだが、このことはベンチに座る選手たちのモチベーションアップにも大いに役立ったそうだ。自分の役割を認識し、交替でピッチに立つ姿を常に想像しながら待機することができた。その戦術的交替が上手く決まった理由だ。

 それとは対照的だったのが、ロンドン五輪に臨んだ関塚ジャパンだ。五輪のベンチ入りメンバーはGKを除くと16人。 W杯より4人少ない人数で、最大6試合を戦う設定だ。無駄を1人も出せない厳しい中で、日本はその最大6試合を戦うことになった。しかしベンチの備えは万全ではなかった。交替でピッチに立っても機能しない選手を生み出してしまった。しかも日本のストロングポイントであるはずの4-2-3-1の3において。

 宇佐美と斉藤学。彼らの力は本来、スタメンを飾った選手と紙一重の関係にあったはずだ。原口、高木善朗、山崎亮平、さらには宮市を含め、落選した選手にも実力者はひしめいていた。2人はその中からあえて選んだ選手だったにもかかわらず、最後まで戦力として活かされなかった。それが終盤に失速した原因に他ならない。3位決定戦で韓国に敗れた理由を「フィジカルとパワーに屈した」とする声を多く聞くが、日本がストロングスポイントを十分活かせなかった事実を忘れるわけにはいかない。