【ヤングなでしこ】田中陽子という才能は、いかにして育ってきたのか? (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

「ドリブルでも安定しているから、周りが見える。キック力もついたので、(シュートの)コースも狙えるようになった」

 本人もそれを実感しながらの今大会となっている。それでも、まだ納得はできていない。

「4得点とは言っても、流れからのゴールは1点だけ。それも切り返しからのシュートという自分の形からじゃない。起点にならなきゃいけないのにミスも多い。もっと質を上げなきゃ。50点位の出来です」

 さらに次の準々決勝の相手はU-17のファイナルで負けている韓国だ。燃えない訳がない。

「韓国は球際も強いし、粘り強いチーム。でも、リスクマネジメントをして、決めるところを決めれば大丈夫だと思う。絶対に先制点が欲しい!」

 舞台となる国立競技場にはおそらく前試合よりも多くの観客が集まることだろう。注目されることがプレッシャーにはならないと田中は言う。

「見に来てくれる人が多ければ多いほど、ホームって感じがします。あの声援はすごく後押しになるし、超嬉しいんです(笑)」

“美形”だと、単にメディアに祭られているだけではない。築き上げたベースに、しっかりとした自身のビジョンを掲げ、大声援を力に変える。そんなしなやかな強さから生まれる彼女のプレイをあらためて注目してみてほしい。

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