【名波浩の視点】五輪で解散するのがもったいないほどの『チーム』になった関塚ジャパン (2ページ目)

  • 渡辺航滋●写真 photo by Watanabe Koji

 ボランチの山口螢などは、後ろに吉田がいることで、より積極的にボールに行けるようになった。奪ったボールを失わないし、かなり向上していた。攻撃面でも、タテへの意識がだいぶ出てきて、機を見て自らも前に上がっていくシーンがよく見られた。

 攻撃陣で光っていたのは、永井謙佑と大津祐樹。とりわけ大津は抜群だった。こんなにいい大津は見たことがないくらい。仕掛ける意識と周りを使う意識があって、自ら潰れ役になったり、スペースを空ける動きをしたり、そのメリハリの効いた動きが、見ていてすごく気持ちよかった。諦めない心、諦めない姿勢に、さらに磨きがかかっていたように感じる。

 アジア最終予選やトゥーロン国際を見る限り、90分間の戦いの中で悪い流れやリズムを修正できずに終わることもあったチームだけに、一抹の不安を感じていた。しかしロンドン五輪では、そういうひ弱さが解消されて、予想以上の結果を残した。

 日本代表でレギュラーを張る吉田が入ったことによって、そうした修正力というものも、選手たちに伝えられたのだろう。実際、押し込まれた展開から回避するのがうまくなっていたし、そうした状況での我慢強さも身についていた。

 五輪を終えて、これで解散してしまうには、もったいないような"チーム"に成長したと思う。


スポルティーバ
ロンドン五輪・速報&総集編
『輝く!「チーム力」ニッポン』
より転載

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る