【なでしこジャパン】全6試合を総括。この悔しさが未来につながる

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

アメリカとの決勝戦では、リードされても果敢に攻め続けたアメリカとの決勝戦では、リードされても果敢に攻め続けた なでしこジャパンの銀メダル獲得。目指してきた色とは確かに違うが、精一杯戦い抜いた中で得たメダルだ。選手たちは"やりきった感"と、昨年世界女王になってから感じ続けていたであろうプレッシャーから解放された、安堵に満ちた笑顔を見せた。この1年間は「注目されることは幸せ」「今後の女子サッカー界のためにも」などと言いながらも、精神的な重圧が小さくなかったことは容易に想像がつく。

 今大会を振り返ると、北京五輪や昨年のW杯同様、最初から好調とはいかなかった。1次リーグは1勝2分。結果的に望んだ2位通過はできたが、内容的にも数字的にも不満が残った。それでもポイントを押さえた戦いは、やはり実力の高さをうかがわせる。

 初戦はカナダに2-1と快勝。この試合は五輪日本選手団として最初の試合でもあった。その意味で、五輪最初のニュースが明るいものであったことは、その後の日本勢の好結果に結びついたかもしれない。

 それでも、試合後の選手たちはさほど明るい表情を見せなかった。

「もちろん良かったところもあるが、もっともっと自分たちはできる。自分自身ももっとできる。次こそはもっと良い試合をしたい」と、宮間あやは、どこか浮かない顔で話した。

 続くスウェーデン戦はスコアレスドロー。W杯で快勝した相手とはいえ、実力国だ。6月にも対戦しているが、スウェーデンは日本対策を練ってきた。日本のパスからの攻撃を、単なるパス回しとして封じ込める守備にしてやられた。日本が攻撃しようとすればするほど、カウンターの危機も増えた。ただ、この頃から最終ラインの岩清水梓、熊谷紗希、GK福元美穂のプレイの質が上がっていったことも確かだ。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る