【日本代表】次元の違うレベルに突入した
「最強」ザックジャパンの底知れぬ野心

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 キャプテンの長谷部誠は、連係のとれた鮮やかなパスワークについて、こう語る。

「6月(のW杯最終予選3連戦のとき)に長い時間、一緒にプレイできたことで、そのフィーリングが残っている。それが大きかった」

 また、長谷部が、「新しく入った選手がいても違和感なくできたし、何人か代わったからどうこうというのはない」と話したように、メンバーが入れ替わっても、さしたる支障がなかったことも収穫のひとつだろう。

 この試合では、次のW杯最終予選(9月11日、イラク戦)で出場停止となる内田篤人、今野泰幸に代わって、右サイドバックには駒野が、左センターバックには伊野波雅彦が入っていた。伊野波についてはやや危ないシーンがあったものの、駒野に関して言えば、内田不在を感じさせないどころか、中盤や前線の選手とうまくコンビネーションを取り、再三の攻撃参加で数多くのチャンスを作り出すことに成功した。

 パススピード。パスコースを作るための周囲の動き。パスの出し手と受け手の呼吸。「史上最強」との呼び声まである現在の日本代表は、どれを取ってもさらに一段高いレベルへと押し上げられている印象を受けた。それは、この2、3週間、五輪代表のサッカーに目が慣れていたことばかりが理由ではないだろう。

 だが、結果的に勝てなかったこともあってか、選手たちの自己評価は一様に厳しかった。前田遼一は語る。

「久しぶりに集まったにしてはチャンスも多かったし、そういう(パスワークができた)時間帯もあったかなとは思うが、僕としては、相手のセンターバックの後手に回ることが多かったので、もう少し先手を取りたかった」

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