【五輪代表】44年ぶり快挙の「本当の価値」はどこにあるのか

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 渡辺航滋●撮影 photo by Watanabe Koji

 清武弘嗣がそう話したように、オーバーエイジ枠を除けば、基本的に23歳以下(U-23代表)の世界大会として位置づけられている五輪が終わり、これから先、彼らロンドン世代の選手たちが目指すのはA代表であり、W杯である。

 月並みな言い方ではあるが、本当の勝負はこれからなのだ。

 今大会にオーバーエイジ枠で出場し、すでにA代表でレギュラーとしてプレイする吉田麻也は「(今大会は)ラッキーな部分もあったし、まだまだ足りない部分が、もちろん僕も含めてたくさんあった」とし、こう続ける。

「僕自身、この五輪代表に呼ばれたことで成長したいと思っていた。今回キャプテンをやらせてもらって、いろんな経験ができて自分の糧になるものがたくさん得られた。ここからが一番大事で、A代表に呼ばれたときに成長したなと思われるようにしなきゃいけない」

 すでにA代表で不動の地位を築いているように見える吉田でさえそうなのだから、23歳以下の選手たちが、今大会で思い知らされたことは多かったはず。大津祐樹は「あとひとつレベルを上げるために、個人個人が能力を上げないといけない」と話す。

 そうしたことは、国際舞台に立って悔しい経験をしたからこそ、気づけることでもある。5月に行なわれたトゥーロン国際もそうだった。東慶悟が振り返って言う。

「トゥーロンでは、個人としても非常に不甲斐ない試合ばかりだったし、チームとしても予選(グループリーグ)で敗退してしまった。あそこでみんな悔しい思いをして、五輪に臨んだことが(ロンドン五輪で)いい方向にいったと思う」

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