【五輪代表】メキシコに完敗も「銅メダルはとりたい」と強い意欲 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

 動きの悪さは明らかで、メキシコがパスミスを犯してもなお、そのボールに日本が反応できず、またメキシコが拾い直す。そんなシーンまで見られたほどだ。関塚監督も、「マイボールになっても動き出しが遅かった。誰かひとりが止まっているというより、チーム全体の反応が鈍かった」と振り返る。

 これまでの試合で日本が何度も見せてきた、スタンドの大観衆をグッと引きつけるようなハツラツさはなかった。吉田が語る。
「ここまで中2日の連戦で、精神的にもギリギリのところでやっているが、それは相手も一緒。その中でいかにミスを減らし、自分たちのサッカーができるかが課題だった。そこが勝敗を分けたと思う」

 65分に勝ち越されてからは、さらに日本の攻撃は停滞した。徳永悠平は、「(今大会で)初めてリードされたこともあって、どこまでバランスを崩して攻めるのか、迷った部分があった」と述懐する。

 その結果、反撃に移ろうにも、むしろパスやトラップでイージーミスが増加。次々に交代で選手を送り出すも効果はなく、まったくメキシコゴールに迫れなかった。

 結局、ロスタイムに3点目を失い、万事休す。日本はメキシコに1-3で敗れ、五輪初の決勝進出を逃した。率直に言って、これまでの勢いがまったく感じられない、残念な敗戦ではある。

 とはいえ、これでロンドン五輪が終わったわけではない。まだ銅メダルをかけた3位決定戦が残されている。吉田が「ここまで来たら、開き直るしかない。ぜひメダルを持って帰りたい」と言えば、大津も「(気持ちを)切り替えられない選手はひとりもいない。プライドのためにも銅メダルをとりたい」と、メダル獲得へ強い意欲を見せる。

 しかも、相手は韓国である。状況といい、相手といい、戦前の低評価を覆(くつがえ)し、ここまで勝ち上がってきたチームにとっては、真価が問われる一戦になることは間違いない。

 あらゆる面で思うに任せなかった敗戦から、今は心身両面での反発力が求められることになる。

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