【なでしこジャパン】猛攻しのいでフランスに辛勝。「PKでは念を送った」(阪口)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

 守りでも、ある程度ねらいは成功した。先の試合では圧倒的なスピードを誇る右MFトミスに何度も突破を許したが、そこを封じたことで、フランスの攻撃の威力は半減した。マッチアップした鮫島は、その対応について、こう振り返る。

「1対1ではスピードで対応できないと思っていた。だから今日はナホさん(川澄)に自分と近い距離を保ってもらい、まずはトミスへのパスコースを切ってもらった。だから、そこまでいい形でトミスに持たれることはなかった。ポジショニングである程度防げたと思う」

 MF川澄の守備への負担が増えた分、左サイドからの攻撃が手薄になり、カウンターが2トップ頼みになり、前線で大儀見が孤立する場面も少なくなかった。そして、唯一の失点シーンは、そのトミスに走られてのクロスだった。だが、そこを除けば、多くの時間帯でスペースを埋めることで、トミスを"潰す"ことに成功したといえる。

「鮫ちゃんと、斜めに走られてぶっちぎられることはやめようと話していた。ナホさんにコースを切ってもらい、裏に抜けられた場面はほとんどなかったと思う」(熊谷)

 ポイントとなったのは、フランスに1点を返されたあとの80分。途中出場のルソメルに左サイド(日本の右サイド)で突破を許すと、カバーに入った阪口が溜まらずファウル。フランスにPKを与える絶体絶命のピンチに立たされた。もしこれが決まっていれば、勝者は異なっていたことだろう。しかし、キックはわずかに右に外れた。

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