【なでしこジャパン】チームに加わった最後の1ピース、大儀見優季

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

「自分の目指すサッカーとなでしこの目指すサッカーが違う」と、大会中でも周囲をはばからずに吐き捨てた。練習中も考え込むように、ひとりボールに向かう姿が見られた。準決勝、決勝では先発からも外れた。優勝に号泣したのは、嬉しさ半分、悔しさ半分だった。

 その大儀見が変わった。初戦カナダ戦前日には「進化した私をお見せできれば」と、柔らかい表情で語っていたのが印象的だった。

 今、チームに対して感じることは「一体感」だと言う。昨年の彼女からは想像さえできないひと言だ。

「こういうチームとして大事な試合っていうときに、チャンスをものにできる、チャンスをつくり出せるというところまでは来たのかな。自分自身の成長として感じられる部分だと思う」

 チームの勝利に貢献できたことを素直に喜ぶ、すっきりした様子だ。

「私は普段、ピッチであまり話さないんですけど、味方に声かけちゃったりして。鼓舞しちゃったりしてましたからね」

 自分自身の変化を楽しむように、クスクスと笑いながら振り返った。

  なでしこらしさとは何かといえば、まず第一に全員守備、全員攻撃。見る者の胸を打つような走り切る姿だ。それに次いで、宮間を中心としたパスワーク。小さな彼女たちがショートパスで大柄な相手を翻弄する姿は痛快ですらある。

 それに加えて、前線で仕事をするストライカー大儀見が機能し始めたことは大きな武器となる。準決勝、そして悲願の決勝へ。なでしこに欠かせない最後の1ピースが加わった。

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