【なでしこジャパン】決勝Tのカギ握る宮間あや、「決勝でベストに」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

メンバーをがらりと変えた南アフリカ戦だが、先発した宮間は77分までプレイしたメンバーをがらりと変えた南アフリカ戦だが、先発した宮間は77分までプレイした グループリーグを2位通過。

 佐々木監督は「対戦相手ではなくて、疲労と準備時間を考え、長時間の移動を避けたかった」と、南アフリカ戦で引き分けを狙った意図を語った。「金メダルをとるためにやったこと」と、選手たちも納得の表情を見せた。試合後、めずらしくピッチで組んだ円陣では、誰もが笑顔をたたえているように見えた。佐々木監督は「つるしあげられるんじゃないか」と冗談を口にしながら、反省するようなポーズで試合後は記者会見場に姿を現した。「選手たちには申し訳ないことをした。辛いことをさせた」と、まさに申し訳なさそうな表情で語った。

 試合内容が少々悪いこと、引き分けを狙ったため勢いをつけられなかったことは確かに気になる。だが、それは自分たちで立て直していくしかない。準々決勝、なでしこはブラジルと対戦する。

 グループリーグを振り返ると、気になるのは得点力不足である。3戦してわずか2得点は決勝トーナメント進出8チーム中最下位。男子であればともかく、参加12チームにかなりの実力差がある女子では、上位チームはある程度の得点は奪えるはずだ。

 点が取れていない理由のひとつは、スウェーデン戦前から、2位通過を狙うという話が出たことと無縁ではない。佐々木監督がそう言った、言わないという話題をメディアを通して知った選手たちが、どことなく戦いづらくなったとしても無理はない。

 ただそこにはもうひとつ、攻撃陣の不調という単純な理由がある。

 初戦で気を吐いた澤穂希も、スウェーデン戦では相手監督に言わせれば「ワールドカップの頃のピークを過ぎた」状態。試合を読む機微や運動量に関してはさすがだとうならされるシーンも多いが、時折りこれまでにはなかった疲労感が漂うのは気のせいではないはずだ。

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