【なでしこジャパン】スウェーデン戦でもカギを握る澤の出来 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by JMPA

「予定ではもっと抑えたシュートになるはずだった。でも、あのシュートで流れが変わったのならよかった」

  前半33分、先制点も起点は澤だった。左サイドのリスタートから始まった流れ。大野にタイミングをはかった縦パスを送ると、そこから川澄へと渡り、ゴールライン際の角度のないところから右のサイドネットに突き刺す、美しいゴールが決まる。「大野が呼んだから出しただけ」と語るように、普段からともにプレイする大野、川澄とのコンビネーションもさることながら、チャンスを見逃さない澤の能力が発揮されたシーンでもあった。

 大会前、澤は「年齢的にも最後のオリンピックだと思う。集大成として結果にこだわりたい」と、宣言している。昨年はW杯女王になり、MVP、得点王、そしてバロンドールと、個人タイトルを総なめにした。だが、最後にどうしてもひとつ欲しいのが五輪のメダルだった。男子とは違い、五輪のメダルはW杯のそれをしのぐ意味がある。だからこそ彼女はここまでたどりついたのだ。

 2戦目の対戦相手スウェーデンは、なでしこと実力で拮抗する相手。だがW杯では3−1で勝利している。その試合では前半に澤のミスから失点したが、その後彼女は自らのゴールでそれを帳消しにした。

 2戦目以降も澤の出来はなでしこの勝敗を左右する。だが初戦の彼女を見る限り、心配は要らなそうだ。

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