【五輪代表】W杯共催から10年。韓国サッカーに見る育成システムのスピード感 (2ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yosshizaki Eijinho
  • photo by AFLO

 99年の9月7日、日本の五輪代表チームは韓国五輪代表とシドニー五輪最終予選の壮行試合を戦った。結果は、日本の「黄金世代」が4-1と韓国を全く寄せつけなかった。オリンピック代表とはいえ、3点差をつけての大勝に"日本優位"の新時代到来の予感があった。この結果はある意味当然のことだった。"プロ対アマチュア"の対戦だったのだ。当時の日韓のメンバー構成。

■日本 ベンチ入り全員がJリーグ所属
■韓国 レギュラークラスでは2名を除いた全員が大学サッカー部所属

 当時の韓国は、「大学サッカーからプロ入り」という流れが依然として主流だった。

 いっぽう、2012年のロンドンオリンピックに望む日韓の代表チームのメンバー構成はこう変わっている。

■日本 18人中、6人が海外組(12名はJリーグ)
■韓国 18人中、11人が海外組(Jリーグ、中国リーグ含む)

 この10年で日本と同じく、韓国も大きく変化した。日本は海外組の宮市亮、香川真司らが選考外のため数字で比べるのはナンセンスでもある。しかし、いずれにせよ韓国は「大学からプロ入り」という長年続いた育成の流れを10年間で一変させた。この世代のタレントを海外のクラブが獲得するまでになったのだ。

 韓国サッカーの日本への視線も変化を見せている。ここ2年で、韓国での日本人フィジカルコーチの採用が増えた。現在のU-23韓国代表の池田誠剛コーチほか、Kリーグの3クラブでも日本人コーチが指導中だ。従来、「強く鍛えることこそ正しい」と考えてきた韓国サッカー界にも、00年代前半あたりから合理的な指導を行なうフィジカルコーチが台頭。

 韓国では、これまでブラジル人コーチがその役割を担ってきたが、文化のギャップなどから上手くいかないケースが目立った。

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