【なでしこジャパン】未決定の枠はいくつ?五輪メンバー選考のサバイバルレースは最終局面へ (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 しかし、この遠征では受け入れがたいハプニングも起きてしまった。アメリカ戦で宇津木瑠美が相手との接触で靭帯を損傷。手術は行なわず、リハビリで経過を見るとのことだが、ロンドン五輪第1戦まで約5週間。たとえ、ボールを蹴ることができるまでに回復したとしても、試合勘を取り戻せるかはまた別の問題。

 現に、この遠征中、澤穂希はめまい症でピッチを離れていた間の勘を取り戻すためにほとんどの時間を費やしたが、いまだ本来の調子に戻ってはいない。

 宇津木は、センターバックとボランチをこなせる人材。18名という限られた枠の中で宇津木のような複数ポジションをこなせる存在は欠かせないだけに、回復を待つか否か、佐々木監督も「経過を見守りたい」としている。

 もともとなでしこジャパンはレギュラークラスとサブメンバーのレベルの差が課題としてあった。岩清水梓、岩渕真奈のケガに加えて、今回の宇津木の離脱は軽視できない。

 また、今回はFWに新たな人材が出てくることが切望されていた。ケガ明けで代表復帰をモノにした丸山桂里奈、ヨーロッパの強豪・リヨン(フランス)で修業中の大滝らに期待がかかったが、ズバ抜けたアピールとはいかなかった。ということは、このふたりだけでなく、35名の予備登録選手全員に、まだチャンスは残されている。

 佐々木監督は、今週末に行なわれるなでしこリーグカップまでを視察の範囲に入れているというが、決まっていない枠は多くても「2」か「3」だろう。スペシャルな能力があるにこしたことはないが、監督としては、世界大会ではユーティリティープレイヤーを手元に置きたいもの。

 アメリカ戦で大きく崩れただけに、佐々木監督もメンバー選考に頭を悩ませる1週間になりそうだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る