【なでしこジャパン】未決定の枠はいくつ?五輪メンバー選考のサバイバルレースは最終局面へ (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 アメリカ戦に続き2試合連続で得点をマークした永里は今やFWの軸。ここに誰がどんな形で絡めるのか。ドイツ流を身に付けた者同士・安藤との連携はスピード感たっぷり。左右のMF宮間と、大野忍との連動も揺るぎない。川澄奈穂美とのコンビネーションも、現在構築中だ。

 また、スウェーデン戦では、守備陣が目を見張るような粘りを見せた。中でもGK福元美穂の働きは特筆すべきもの。165㎝と、GKとして決して恵まれている身長とはいえない福元には、正GKを務めた北京五輪で、ドイツやアメリカの"高さ"にやられた苦い経験がある。

 あれから4年。自身のケガや海堀あゆみの成長などもあり、一時はなでしこジャパンに招集されないこともあった。しかし、福元はそこから這い上がってきた。必死に取り組んできたのはパンチング技術のレベルアップ。北京で惨敗した"高さ"への対抗策は、判断の早さとパンチングだった。

「スウェーデンは世界で最も背の高いチーム。ゴール前では、味方とも交錯するし、キャッチするよりも、跳ね返した方が有効だと思った」
 と、この日もファインセーブを連発。余裕を持った高さでのパンチングではない。かろうじて拳ひとつ分、スウェーデン選手の頭を越えているだけ。それでも跳ね返す力を十分に備えてきたからこその無失点だった。

 スウェーデンのエースストライカー、シェリンの裏への飛び出しも徹底的にケアした。さらに、アメリカ戦をベンチから見て感じ取ったことも生きた。

「スピードのある相手には、こまめなラインコントロールが重要。そこはいつも以上に気をつけた」という福元からの的確な指示で、熊谷紗季と田中明日菜のセンターバックコンビは、多少のバタつきはあったものの、安定した最終ラインを築いた。後半に受けたスウェーデンの猛攻も粘り強く跳ね返し、最後まで集中を切らすことはなかった。

 アメリカとスウェーデンでは、実力もタイプも異なるので安易に比較はできないが、実力差を差し引いても、及第点の守りを見せたといえるのではないだろうか。

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