【なでしこジャパン】アメリカに惨敗して鮮明になった選手たちの「危機感」

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

澤が復帰するも、アメリカに4-1と大敗したなでしこジャパン澤が復帰するも、アメリカに4-1と大敗したなでしこジャパン 
 今回のアメリカ戦は、まさしく、今のなでしこジャパンに最も必要なゲームだったのではないだろうか。

「これが、(私たちの)本当の実力だと思います」――試合後の宮間あやの言葉がすべてを表していた。

 開始早々、モーガンに先制を許すと、10分にも今度はワンバックに合わせられ、日本はあっさりと2失点。立ち上がりの猛攻撃はアメリカの作戦だった。

「日本はプレッシャーに慣れてないから、どんどんあたって行けば必ずミスが出てくる」(モーガン)。その通りの展開になり、アメリカはしてやったりだ。

 日本とて警戒していなかった訳ではない。

「相手にスピードがあることも、パワーがあることも、立ち上がりから来ることも、わかっていたけどそれに対応しきれなかった」
 と、悔しさをにじませたのは、この試合でセンターバックを務めた矢野喬子だ。最終ラインの要だった岩清水梓が国内合宿で故障離脱。スウェーデンに入ってからは、矢野と宇津木瑠美、熊谷紗希、田中明日菜らがその席を巡って凌ぎを削っていた。

 そしてアメリカ戦のスタメンを手にしたのは矢野と宇津木だった。そのふたりの守りの前に、アメリカの想像以上のプレッシャーが襲いかかる。自分たちのペースを作る前に混乱に陥ってしまった。もちろん、中盤で思うようにプレスがかからなかったことにも要因がある。そのボランチには澤穂希が3カ月半ぶりに復帰するも、本来のような動きとはいかなかった。

 後半に入ってからの交代にも、
「緊張もあって、なかなか自分のプレイができず、ふがいない結果になってしまった」
と、澤本人も認める出来の悪さ。

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