【なでしこ】リーグ屈指の名勝負で躍動した岩渕真奈の「成長」と「悔し涙」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 他にも、大野となでしこジャパンの守備の要でもある岩清水梓との対決や、川澄奈穂美と有吉佐織との元日体大対決、ジャパンボランチの澤vs阪口、元同僚MFの澤vs原といった数々の意地のぶつかり合いが随所で見られ、その度にスタンドからは歓声が沸き上がった。

 そんな中、絶妙な動き出しでINAC守備陣を翻弄したのが、ベレーザの岩渕真奈だ。DFを背負うかと思いきや、素早いターンで置き去りにする。30分には、この日、圧巻のパフォーマンスを見せたINACのGK海堀あゆみに阻まれたものの、豪快なシュートを放って最大の決定機を作った。そうしたシュートのみならず、周囲とのコンビネーションでINACゴールを脅かし続けた岩渕。結局、ゴールこそ生まれなかったが、再三に渡ってチャンスを演出し、成長した姿を存分に示した。

 昨年、ワールドカップ優勝を経験した岩渕だったが、中心戦力となるまでには至らなかった。帰国後には悪化させたケガによって戦線離脱。シーズン後半戦までチームに合流することができなかった。この頃から岩渕は、常々こう言い続けていた。
「チームに迷惑をかけてしまった分、貢献したい」

 経営難の問題や、引退・移籍選手が多く出たベレーザは、厳しい状況に立たされていた。そんな時期だからこそ、自分ががんばらなければならないのに......。当時リハビリに励む岩渕は無力だった。ゆえに、復帰後の奮闘をずっと胸に誓っていたのだ。

 そして今年1月、右第5中足骨疲労骨折で金属ボルトを入れる手術も受け、完全復活を期した。それから復帰後、徐々に調子を上げてきた岩渕は、この日、最高のパフォーマンスを披露。溜まっていたモノすべてを発散しているようだった。

 だが、前半終了間際、手術を受けた右足に痛みが走った。

「(負傷が)治る過程の中で痛みが出るのは当たり前。前半の岩渕は今季最高のプレイだった。本人には『これ(痛み)は仕方ないよね。よくがんばったから大丈夫、交代しよう』と言った。一番悔しいのは本人でしょう」と、ベレーザ・野田朱美監督。岩渕をピッチから下げた。

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