2012.06.10

【名波浩の視点】今の日本なら、
オーストラリアを超えて欧州レベルに迫れる

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 さて、次はグループ最大のライバルとなるオーストラリア戦。相変わらずキューウェルやケーヒルが攻撃を引っ張り、清水エスパルスのアレックスやボランチのジェディナクが高いパフォーマンスを発揮。GKのシュワルツァーやセンターバックのニールらが堅実な守備を見せているものの、決して怖い相手ではない。現状の日本の強さを考えれば、変に気負う必要はまったくない。チャレンジャーという気持ちを持つことは大事かもしれないけれども、今なら「受けて立つ」姿勢でどっしりと構えていればいい。

 なにしろ、ヨルダン戦で4-0になっても手を抜かなかった選手たちは、本当にすごい。多少ルーズになった部分もあったかもしれないが、誰もが常にボールを追いかけ、敵へのアプローチの際にも決してスピードを緩めることがなかった。それをずっと続けられるのだから、ぶざまな試合をするはずがない。ザッケローニ監督が徹底してきた守備のスターティングポジションとコンパクトフィールドも、オーストラリア戦に向けてのシミュレーションだと思うだけに、アジアの王者として自信を持って戦ってほしい。

 そのオーストラリア戦でのキーマンを挙げるとしたら、前田だろう。この2試合は、深さを作る動きをきっちりこなし、スペースを効果的に作りながら岡崎との秀逸な連動性を常に作り出していた。しかしオマーンやヨルダンと違って、オーストラリアの守備はもう少しハードで、ボールの奪い方もクリーンでうまい。そういう相手との駆け引きの中で、前田が生きるプレイを見せられるかどうか。

 それはつまり、いいリズムで止まらずにプレイする選手たちを、オーストラリア戦でもそのまま動きを止めさせずに生かせるかどうか。前田のところにボールが入って、前がかりになったところでボールを奪われるのがいちばん怖いだけに、なおさら前田のプレイが日本の出来を左右するポイントとなる。

 そこで前田が、何度もスペースに流れて、くさびのボールをシンプルにはたいて味方につなぎ、全体が押し込まれているときはドリブルでボールを運ぶなど、ヨルダン戦のようなプレイを実践し、チーム全体の動きが止まらなければ、日本代表はさらにひと皮むけたチームになる。「さぁ次は、欧州のチームと胸を張って戦ってこい!」というレベルになってくると思う。すなはち、欧州の上位クラスを相手にしても守りを固めて戦うのではなく、自分たちのスタイルで自信を持って試合に挑んでいいチームになったと言えるのではないだろうか。

『W杯アジア最終予選』はテレビ朝日系列 地上波独占放送。

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