【日本代表】「最強」ザックジャパン圧倒的攻撃力を支えているのは『バルサの原理』 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 とはいえ、腰高な攻撃的スタイルで相手を叩きのめせるほど、サッカーは生易しい競技ではない。長谷部は言う。

「攻撃にばかり目がいくが、守備のほうもすごく集中している。後ろの選手だけでなく、前の選手も守備の意識が高く、リスクマネジメントがしっかりできている」

 バルセロナがそうであるように、今の日本の強さは、注目が集まりがちな攻撃力以上に、むしろ長谷部の言う「守備意識の高さ」が支えていると言っていい。

 自分たちのリズムで攻撃を進め、ボールを失ったとしても、すぐに高い位置で奪い返す。ときに相手を蹂躙(じゅうりん)するかのような連続攻撃を仕掛けることができるのも、そのためだ。

「結果だけを見れば、簡単なゲームに見えるかもしれない。だが、全然簡単ではなかった。選手が難しいゲームを簡単なゲームに近づけたのだ」

 試合後の会見でザッケローニ監督がそう話していたが、おそらく指揮官が言わんとすることも、長谷部のそれに近いのだろう。

 どんなに高い攻撃力を持っていたとしても、簡単に相手のカウンターを許してしまえば、試合はバタバタとした落ち着かないものになってしまう。仮に失点はしなくとも、徐々に流れは変わっていくものだ。

 だが、今の日本にはそれがない。だからこそ、日本はやすやすと攻め続けている、すなわち、簡単にゲームを進めているように見える。

 最終ラインに入る今野泰幸は、「正直、(カウンターの)怖さはある。細心の注意を払って対応している」と話しながらも、チーム全体に浸透する守備意識には手応えを感じている。

「(香川)真司もかなり(ボールを)追ってくれているし、(前田)遼一さんなんて足が止まることがない。前線からいい形で守備ができていると思う」

 同じくセンターバックの栗原勇蔵もまた、吉田麻也の負傷で前半途中から急遽出場することになったにもかかわらず、「前から守備ができているから、後ろは楽だった」と振り返る。

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