【五輪代表】トルコ戦で突きつけられた現実。関塚ジャパンに欠けていたものとは? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

「縦に急ぎすぎて、サコ(大迫勇也)が孤立していた。もっとサイドチェンジを増やせば、相手を走らせられたはずだし、自分たちのペースになるまでは急がず、(縦の)クサビだけじゃなく、横パスも必要だった」

 つまり、一見、日本が押しているように見えた試合も、しかし、実際には日本の選手が慌ててプレイさせられていたわけだ。

 果たしてトルコは、日本が慌てる原因にもなっていたボディコンタクトや球際の争いで、次第に強さを発揮。試合のペースをつかんでいく。シュツットガルト(ドイツ)に所属し、日常的に激しいコンタクトを体感している酒井高徳は言う。

「(日本の選手は)プレッシャーをかけにはいっているが、体をあずけるところまではいってないから、ボールを取り切るまでいかない。体が逃げている部分もあるから、(相手選手に)スルッと抜けられたり、五分五分のボールが相手に渡ったりしていた」

 また問題は、相手にボールを渡していたことだけではない。ユトレヒト(オランダ)に所属する高木善朗はこう話す。

「球際の激しさに一歩引いてしまっていた。対応が遅れ気味になるから手を出してしまって、ファールも多くなった」

 高木が指摘するように、日本は球際の攻防で後手を踏み、いたずらにファールを増やした結果、FKから失点した。つまりは、失うべくして失った先制点だったということだ。関塚監督も「前半から、あの(失点した場面と同じ)角度のFKを与えてしまっていた。それが相手の先制点につながった」と振り返る。

 その後、交代で入った齋藤学、指宿洋史、高木が積極的にゴールに迫ったが、得点は奪えず。逆に守備では、時間の経過とともにボールへの寄せが遅くなり、簡単にマークを外され、パスをつながれるようになった。

 ついには、「システムを(4-2-3-1から4-1-4-1へ)変えて点を取りにいったが、ボランチを1枚にしてサイドが薄くなったところを突かれて」(関塚監督)、2失点目。日本のお株を奪うかのような鮮やかなパスワークで、完全に崩し切られた末のダメ押しゴールだった。

 日本の選手たちは、明らかにトルコの当たりの激しさに面食っていた。いわば、国際経験不足を露呈した結果の敗戦である。

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