【名波浩の視点】アゼルバイジャン戦で浮かび上がった
日本代表の 「一抹の不安」

  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

久しぶりの代表戦ながら、高いキープ力で存在感を示した本田圭佑。久しぶりの代表戦ながら、高いキープ力で存在感を示した本田圭佑。 W杯最終予選を控えた日本代表がアゼルバイジャンと対戦し、2-0で勝利した。今回の試合では、例えば、ある選手はコンディションチェックであったり、ある選手は心肺機能を上げることであったり、またある選手はアピールする場であったりと、それぞれの選手で違った目的があり、モチベーションも選手個々で差があった。そうした点を踏まえれば、それなりに合格点を与えられる内容だったと思う。

 ただ、2点という結果には多少物足りなさを感じた。その要因のひとつに挙げられるのは、本田圭佑と香川真司の関係。代表で9カ月ほどプレイしていなかった本田が、トップ下のポジションに入って、香川にどれくらい気持ちよくプレイをさせられるか、という点で、あまりプラスアルファーが見られなかった。

 本田個人のパフォーマンスは決して悪くなかった。なるべくゴールに近いところでプレイしようという意図があって、持ち味である、前へ、前へという意識は非常に強かったと思うが、香川との距離が少し近かった。

 特に前半はそうだった。離れているときはチャンスを作れていたけれども、ふたりの距離が近いとすべて足もとにパスが集中して、攻撃が行き詰っていた。原因は、足もとにボールが入っている分には、相手DFにとっては自分の守るエリアに敵が入って来ないため、動かずに守れてしまうからだ。前半30分くらいまでは、そうした展開の繰り返しだった。

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