【日本代表】木村和司が申す「W杯最終予選、勝敗のカギは香川にあり」

  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 ここ数年、「日本人全体のレベルは上がっているものの、突出した選手がいなくなった」と言われていたけれども、こうした香川の活躍や、インテルでレギュラーを務めている長友佑都らの姿を見ていると、時代がまた変わってきているのかもしれないな。今季は弱冠19歳の宮市亮もプレミアリーグで奮闘していたし、力のある選手が次々に出てきそうな雰囲気がある。これから彼らが世界の舞台でどれだけ飛躍していくのか、ますます期待が膨らむ。

 とにかく来季は、マンUの香川とアーセナルの宮市とのマッチアップをぜひとも堪能したい。そんな時代が来るなんて、ちょっと信じられないよな。

 さて、そんな彼らには、まもなく始まるW杯アジア最終予選でもがんばってもらわなければいけない。特に香川に関しては、攻撃の中心選手として、点に絡む仕事を存分にこなしてほしいと思う。出し手や受け手とのタイミングの取り方がいいし、周りの選手たちも彼の実力を認めているから、必ず彼にボールが集まってくるはず。そこで、決定的な仕事をしてもらいたい。

 そのためにも、周囲の選手たちには香川を生かすプレイを心掛けてほしい。彼が自由な状態で、彼の感性でプレイできる局面を作っていくべきだろうな。

 本田圭佑との融合を不安視する声もあるようだけれども、ワシに言わせりゃあ、ナンセンスや。よく「両雄並び立たず」なんて言われるが、うまい選手はいくらでもいたほうがいいに決まっている。別にポジションがかぶるようなことはないし、うまく融合して、それぞれが持ち味を生かせるような働きを見せれば、日本の攻撃の破壊力は間違いなく増す。今の日本にとって、このふたりの存在は本当に大きいと思うよ。勝敗のカギは、彼らが握っていると言ってもいい。

 あとは、選手全員がいいコンディションを保って試合に臨むことが大事。欧州組はシーズンを終えたばかりで難しい部分もあるかもしれないが、精神的にも、肉体的にも、万全の状態で臨んでほしい。しっかりリフレッシュして、頭の中の思考も代表モードに切り替えることが大切だろうな。

 ポイントになるのは、6月に行なわれる最初の3試合。そこで、最低でも勝ち点6、できれば勝ち点7は挙げておきたい。ホーム2戦を連勝して、アウェーのオーストラリア戦を引き分ければ御の字。3連勝できれば、それこそ言うことなしや。

 何はともあれ、代表は内容よりも勝つことが重要。どんな形でもいいから点を奪って、初戦できっちり結果を出したい。そうすれば、チームもうまくまとまっていけると思う。そのためのいい準備がアゼルバイジャン戦でできるかどうか。まずは、そこに注目やな。

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