【五輪代表】オーバーエイジ候補・遠藤保仁の胸中「五輪? 出たいよ」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

 五輪代表の戦力を見る限り、遠藤はチームのウイークポイントを補う選手であることは間違いない。

 まずは、ゲームメイク。扇原貴宏が頭角を表してきたものの、彼はボールをさばくことはできても、全体をコントロールし、チームを仕切るところまでには至っていない。遠藤ならば、その役割を十分に担ってくれるはずだ。

 さらに、メンタル的な部分でも遠藤の存在価値は計り知れない。清武はプレイでは攻撃陣をリードできるが、劣勢な状況に陥ったり、冷静さを失ったりした時に、チームに落ち着きを取り戻す役割を果たせるかどうか。しかし、何事にも動じない遠藤がいれば、その課題もクリアになる。

 また、国際経験も豊富で、なおかつチームに期待感を抱かせてくれる。

 仮にOA枠で招集された場合、チームにフィットできるのか? という疑問にも、「大丈夫でしょ」と本人は語る。プレイの個性は強烈だが、性格的なアクの強さはなく、どんな選手にもうまく合わせられる。しかも五輪代表チームはパスサッカーを標榜し、攻撃陣は技術の高い選手が多いだけに、遠藤にとってもプレイしやすい環境にある。それゆえ、遠藤待望論は高まるばかりだ。

 ただ、遠藤がそうした周囲の声に踊らされることはない。
「五輪には出たいよ。でもそれは、オファーが来て、初めて成立することだからね。その時、自分は何をすればチームのためになるんだろうっていうのを考えて、力になれるならやりたいというスタンス。『絶対に出たい』とか『出なきゃいけない』というのとは、ちょっと(ニュアンスが)違う」

 加えて、「クラブ(ガンバ大阪)の事情だってあるだろうし」と遠藤が話すように、OA枠で選出され、最終的にクラブ側の了解を得られるか、という問題もある。が、可能性はゼロではない。

「もし、五輪に出られたら? う~ん、メダルは欲しいよね。そのための助っ人なわけだし、五輪に出たくないと思う人がいないように、五輪に出てメダルが欲しくない人なんていないわけだから。まあ今は、オファーを出してもらえるように、自分のプレイをしっかりするだけだけどね」

 はたして、遠藤にとって3度目の正直となる五輪出場は、叶うのだろうか。

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