【なでしこジャパン】代表定着なるか!?18歳・京川舞が学ぶトップレベルで必要な力 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 また、止められはしたが、ドリブルでの突破も試みた。

「自分は"うまい"選手ではないから、"気持ち"で勝負。今のトライがダメでも、次!と切り替えられなければダメ。続けていればチャンスにつながりますから」(京川)という意識が感じられ、約50分弱の出場時間で見えたものは、善し悪し含めて多かったはずだ。

 なでしこジャパンの右サイドハーフは人が定まりにくいポジションである。左サイドは宮間の定位置となっているが、右はこれまでに何人もの選手が試されてきた。現在、右サイドは大野忍の先発が多いが、この日、わずかな出場時間の中で相手GKのパスミスを奪ってゴールを決める活躍を見せたその大野ですら、本来のポジションであるトップからサイドへ下がる際には、かなり苦労を重ねている。

 さらに、今回の大会では、中盤の選手がサイドチェンジを活発に行なっている。前後の距離感だけでなく、左右のバランスも頭に入れなければならない。京川がピッチで迷子になるのも無理はない。

 そこをうまくフォローしているのが新キャプテンの宮間だ。逆サイドから京川のポジションを確認し、迷っていれば位置を修正させる。「今は、(京川は)とにかく思いっきりプレイすればそれでいい。そこをしっかりやるのが彼女の仕事です」と、宮間も京川が遠慮なくプレイできるように気を配っている。

 京川自身の判断力だけではチームについていけないというのが現状であり、そこに味方からのコーチングをヒントに動きながら、ひとつひとつ積み重ねていくしかない。

「個の力としても、技術面でもまだまだなでしこジャパンのレベルではない」と試合後、京川について厳しく評価した佐々木監督だが、なんとか新戦力に成長させたいと、トレーニングでも京川の動きに細かくアドバイスを送る。

「紅白戦ではわからないところもありまして......(苦笑)。明日からのトレーニングでまたしっかり学んでいきたいと思います」と意欲を見せた京川。アルガルベカップは残り2試合。できれば、なでしこジャパンのFWとしてプレイする京川を見てみたいものだ。

 しかし、もう一度出場のチャンスを掴めるかどうかは、今後のトレーニングでの出来次第。"新戦力"となるか、"お試し枠"で終わるか......。京川にとっては残されたすべての時間がアピールの場となる。

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