【五輪代表】 「自分たちのサッカー」は実現できたのか?マレーシア戦で見えたチームの成長と課題 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 2月5日のシリア戦。日本は思うようなサッカーができず、焦りや苛立ちから、選手それぞれがバラバラの意識で戦うようになってしまった。

 だが、このマレーシア戦では、必ずしも狙い通りの組み立てができていたわけではなかったが、それでもとにかくシュートへつなげようという意識だけは、チーム全体として失うことがなかった。関塚隆監督も、「一人ひとりのシュートへの意識が得点につながった」と、選手たちの積極的な姿勢を称えた。

「前の(シリア戦の)負けが生かされた。そのまま、"なぁなぁ"で行っていたら、危なかったと思います」

 酒井がそう話したように、もはや彼らは、自分たちが狙いとするサッカーができなかったときに、あたふたするだけのチームではなくなっていた。U-23日本代表は、確実に一歩前進していた。その結果が、4-0の勝利である。

 とはいえ、この勝利を喜んでばかりもいられない。

 前半は落ち着かない展開が続き、シュートこそ放つものの決定機は少なく、逆に危険なカウンターも何度か受けた。ボランチが下がってボールを受けようとするあまり、全体が間延びし、選手同士がいい距離を保てなかったことが、その要因だろう。

 そんな展開であってもピンチをしのげたことは、確かに精神的な成長をうかがわせた部分ではあるが、2点のリードで前半を折り返せたのが不思議なくらいの試合内容だったことも、また事実だ。

 また、60分に4-0とした後の、残り30分間の戦い方にも不満は残った。

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