最強助っ人・ラミレスが欠場を直訴したほど「対戦がイヤだった投手5人」。9連続三振を喫したエース、イライラしたスローカーブの使い手も

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

アレックス・ラミレス氏インタビュー

対戦がイヤだった投手

 現役時代にヤクルト、巨人、DeNAでプレーしたアレックス・ラミレス氏は、日本通算2000安打を達成するなど多くのタイトルを獲得。そんな "最強助っ人"ラミレス氏にも、対戦するのがイヤだった投手がいたという。今回はその5人を明かしてもらった。

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【「2種類のフォーク」、「大きく曲がるスライダー」に大苦戦】

――さて、今回はラミレスさんが「現役時代に対戦していてイヤだった投手」を5人挙げていただきたいと思います。真っ先に浮かぶのは誰でしょうか?

ラミレス まずは黒田博樹さん(元広島、ヤンキースなど)ですね。彼のフォークには手も足も出なかった。あんなフォークはアメリカでは見たことがなかったですから。来日1年目の2001年に、僕は9連続三振を喫しましたよ(苦笑)。

――黒田投手のフォークは、他の投手とはどのように違うんですか?

ラミレス 全然違います。彼のフォークボールは2種類あって、右バッターのインコースにツーシームのように食い込んでくるボールと、アウトコースに逃げていくボール。実は、最初の対戦ではホームランを打ったんですが、そこから9連続三振。まったくバットに当たる気がしなかったな(苦笑)。途中までは同じ軌道で向かってくるのに、手元で急に外側に落ちたり、内側に落ちたり......。ボールが細かく動いていましたね。

――「黒田対策」はどのようにしたのですか?

ラミレス 来日1年目に、当時のヤクルト・若松勉監督に「あのフォークは打てない」って相談したら、「じゃあ、振らなければいいんじゃない?」と言われました。そして、八重樫幸雄コーチと「ステイバック、ステイバック」を合言葉に、体重を後ろに残す、前に突っ込まない練習を続けました。それで少しは対応できるようにはなったけど、やっぱり黒田投手のフォークは難しかったですね。

――では、2人目は誰でしょう?

ラミレス 当時、中日ドラゴンズのエースだった野口茂樹さんですね。実は、彼にも9打席連続三振を喫しているんです(苦笑)。左ピッチャーで、あんなにすごいスライダーを投げる投手は見たことがない。

――そんなに大きく曲がるんですか?

ラミレス 彼のスライダーも2種類ありました。右打者の僕から見て、ひとつはアウトコースのボールゾーンから、バックドアでストライクゾーンに入ってくるもの。もうひとつは、僕に当たりそうなぐらいインコースのひざ元に食い込んでくるもの。どちらも回転がいいから、一度止まって、そこから急激に曲がってくるように見えるんです。予告先発で「明日は野口だ」ってわかったとき、若松監督に起用してほしくないことを直訴したこともありますよ。

――何と言ったのですか?

ラミレス 「若松さん、今日の試合、勝ちたいですよね?」と切り出して、「勝利するためにひとつだけいい方法があります。僕を使わないことです」と(笑)。でも、若松監督は「いやいや、頑張って!」と言って僕を使ってくれたけど、やっぱり打てなかったですね。

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