小澤怜史の先発抜擢に山崎晃大朗の2番起用...独走ヤクルトを支える高津流・適材適所「起用すれば、あとは祈るだけ」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 4月は6番での出場が多かった長岡だが、5月に入るとコンディション不良で離脱していた中村悠平が復帰。それに伴い、高津監督が"適材適所"と考える8番でほぼ固定されるようになった。

「フルメンバーで戦えるのだったら、今の長岡は8番がいいと思います。9番はピッチャーですので、思いきり振って長打を打ってくれるような選手になってほしいですね」

 8番での長岡は、打率.313、5本塁打と好成績を残している。長岡自身も「8番のほうが気持ち的にはラクです」と語り、こう続けた。

「8番は打順が回ってくるのが遅いですし、その前の打者がしっかり投げさせてくれているので、投手の球筋をイメージしながら打席に立てています。それが数字として残っているのかなと思います。監督からはとくにこれをしなさいと言われたことはありません。フリーに打たせてもらえるという意味では『思いきりやりなさい』ということなのかなと受け止めて、打席に立っています」

 8番の長岡が起点となり、1番・塩見泰隆が還すというのが、今年のヤクルトの得点パターンのひとつとなっている。塩見の1番での得点圏打率は驚異の.434。高津監督は言う。

「もちろん、山田哲人、村上宗隆、ドミンゴ・サンタナのほうが得点力はありますけど、9番は挟みますが、長岡と塩見の並びも相手にとっては嫌でしょうね。いい関係になっていると思います」

2番を青木から山崎に代えたワケ

 開幕後しばらくは青木宣親が2番を打っていたが、5月中旬からその打順に定着しつつあるのが山崎晃大朗だ。途中出場時は送りバントのサインがよく出されていたが、2番になってからは驚くほど少ない。

「青木に比べたらバッティングはまだまだですけど、少しは近づいてきたかなと。一、二塁間にゴロを打てるようになってきましたし、1番の塩見が出塁したあとの2番打者としての役割もすごく理解できるようになってきました」(高津監督)

 山崎は、高津監督が求めていることをこう理解している。

「塩見の足が使えるということで、簡単にバントで送るのはもったいないのかなと。そのなかで、理想は右方向に打つことで無死一、三塁をつくること。最低でも塩見をセカンドに、最悪でも僕が一塁に残る意識で打席に入るようにしています」

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