濱中治が阪神の前半戦を分析。「納得できなかった」大山悠輔の起用法、佐藤輝明の「対応できていない」課題を語った (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

新加入・ロドリゲスはどこまで活躍するか?

――レフト方向へのホームランが減ったというのは、技術面というよりは「引っ張りたい」という意識面が原因でしょうか?

濱中 今年もかなりインコースを攻められていますが、まだアジャストできていないということが原因だと思います。特にヤクルト投手陣は佐藤に対して、徹底的にインサイドを突いてくる。ここを上手にさばけない限りは、なかなかアウトコースに投げてきません。ヤクルトに限らず、セ・リーグ各チームが「佐藤にはインコース」となっていて、佐藤自身がまだうまく対応できていないというのが現状ですね。

――もしも今、濱中さんが阪神の打撃コーチだとしたら、どのような指導をしますか?

濱中 まず、マシンで徹底的にインサイドの練習をさせます。すぐにヒットやホームランを打たなくてもいい。ファウルでもいいから、強い当たりをライトポール際に打つことができれば、それだけで相手バッテリーの配球は変わってきますから。そもそも、四番打者に対してインサイドばかり突いてこられるということは、絶対にあってはならないことなんです。インコースの速い球に対して、どうやって右ひじをたたんで打てばいいのか。それはマシンを使って、何度も練習するしかないと思いますね。

――先ほど、「大山と佐藤はセットにしたほうがいい」との発言がありました。現状では近本光司選手が三番を打つことが多いですが、クリーンアップについてはどう見ていますか?

濱中 近本の三番はうまく機能していると思います。ただ、僕は近本の適性を考えたら一番打者が適任だと思っています。そう考えた時に、シーズン途中で加入した(アデルリン・)ロドリゲスがどこまでやれるかに注目しています。今のところ、3試合に出場して8打数3安打と結果を残していますが、2020年にオリックスに在籍していた時は、かなり打率が低かった(.218)ので、今後どれだけ対応、適応できるかが注目ポイントです。

――ロドリゲス選手が機能すれば、彼にクリーンアップを任せて、その代わりに近本選手を一番として起用するということですか?

濱中 そうですね。それが理想だと思います。ただ僕としては、ロドリゲスよりも大山をファーストで起用したいところ。大山の一塁守備は12球団の中でも一番だと思っています。特に甲子園球場では守備の比重がとても大きいですから、どんな送球でも柔軟に捕球できる大山の一塁守備は、投手陣も安心できると思います。いずれにしても、ロドリゲスがどれだけ打てるかが、後半戦のポイントになってくるでしょうね。

(後編:阪神の大逆転優勝はあるのか。「カギはドライチトリオになる」>>)

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