濱中治が阪神の前半戦を分析。「納得できなかった」大山悠輔の起用法、佐藤輝明の「対応できていない」課題を語った (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

「開幕七番」に発奮した大山悠輔

リモート取材でインタビューに答えた濱中氏リモート取材でインタビューに答えた濱中氏この記事に関連する写真を見る――阪神復調の原動力として、プロ4年目にして初めてオールスターゲームにも選出された湯浅京己投手の台頭が大きいのでは?

濱中 今年の前半戦、チームを救ったのは間違いなく湯浅でしょう。その間にアルカンタラ、岩貞が復調してきて、さらに6年目の浜地真澄が大活躍をして、加治屋蓮、渡邉雄大が頑張っている。中継ぎ陣が頑張ったことでチームに勢いが戻ってきたと思います。

 シーズン序盤は接戦で負けることも多かったけれど、中継ぎ投手陣が踏ん張ることで白星を拾うことが増えました。そして、交流戦の頃には打線が爆発して、さらに勢いが増したと思います。特に6月の大山悠輔の大爆発はすごかったですね。

――開幕戦では「七番・サード」での起用となった大山選手ですが、クリーンアップに固定されるようになって以降は本来の調子を取り戻していますね。

濱中 なかなかオープン戦で調子が上がらなかったので、「七番」でのスタートとなりましたけど、僕はこの起用に関しては納得できませんでした。やっぱり、大山は阪神の中心打者だし、相手へのプレッシャーを考えたら、絶対に佐藤輝明と大山はセットにしたほうがいい。もちろん、四番候補の大山をあえて七番で起用することで「もう一度、這い上がってやる」と奮起させる狙いもあったでしょうし、それがあったから6月の大爆発もあったのかもしれませんが、大山は本当に悔しかったと思います。

――濱中さんも阪神の四番を務められました。四番と七番とでは、意気に感じる部分、意識やプレッシャーなども違うものですか?

濱中 全然違いますね。四番はチームの中心ですから。それが七番で使われるというのは、これほど屈辱的なことはない。僕が阪神の打撃コーチを務めていた2019年、不振だった四番の大山を五番、いや、六番に落としたことがありました(19年8月10日・対広島戦)。その時に彼はサヨナラホームランを打ったんですけど、大山はそういう気持ちの強い部分があります。矢野燿大監督なりの"刺激策"だったんでしょう。

―― 一方、四番を任されている佐藤選手ですが、プロ2年目を迎えて何か変化は見られますか?

濱中 三振の数が減っていることは大きな進歩だと思いますが、相変わらず打ち損じが多いですね。絶好球をファウルにしてしまう。この点は去年と変わっていません。あと、今年は逆方向へのホームランが減っているのが気になります。どうしても「引っ張りたい」という意識が強すぎる気がします。

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