ヤクルト髙津臣吾と野村克也の采配の違い。八重樫幸雄が選手起用など監督としての能力を絶賛

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

日本一連覇の確率は80パーセント

――他に「髙津采配」の特徴について、何か印象に残っていることはありますか?

八重樫 ピッチャーはもちろん、野手に関してもコンディション重視で、ゲームを休ませたり、休養を与えたりというのはかなり意識的にやっていますね。ずっとゲームに出続けているのは村上宗隆ぐらいでしょ。どんなに勝ちたい試合でも、「勝利の方程式」を休ませるケースがありますよね。これは2位と大差がついた現状だからできることじゃなくて、仮に競り合っていたとしても、髙津なら今の姿勢を貫いていると思います。この点も、ノムさんとは違う点じゃないかな。

――ここまで、絶賛や賞賛が続いていますが、強いて懸念材料を挙げるなら?

八重樫 強いて挙げるとすれば、髙津は優しすぎるところかな? いや、それは今の時代に合っているから、それも欠点じゃないか(笑)。もともと、彼が怒っているところを見たことがないんですよ。現役時代、リリーフに失敗してチームが負けても、ベンチでグラブを投げつけたりするようなことは一切なくて、常に平然としたままでしたからね。

――「グラウンドではあえて感情を出さない」とも発言していますよね。

八重樫 現役時代もそうだったけど、指導者になってからはそのスタンスがさらに徹底されている気がします。現役時代に培ったものを糧にして、自分なりの理想の指導者像を追求している。それが、ここまでいい結果につながっていると思います。

――さて、コロナによる大量離脱から、選手たちも復帰しつつあります。少し早いですが、ヤクルトの優勝の可能性について、八重樫さんはどう思いますか?

八重樫 「気が早いよ」と言われるかもしれないけど、ペナントレース優勝は間違いないんじゃないかな? ただ、クライマックスシリーズ(CS)だけが心配なんです。あまりにもゲーム差が開きすぎたり、あまりにも早めに優勝が決まってしまったりすると、勝負勘やゲーム勘を失ってしまうので。

――順調にCSを突破したとしたら、球団史上初となる「日本シリーズ連覇」の可能性はどう見ていますか?

八重樫 日本シリーズに出ることが決まったら、8割以上の確率で連覇の可能性があると思いますよ。交流戦で、あれだけパ・リーグのピッチャーを攻略しているんだから、その点は自信を持ってほしいし、それこそ髙津の言葉じゃないけれど、「絶対大丈夫」だと思います(笑)。

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