川崎憲次郎が選んだパ・リーグ旬の6人。「ふだんはおとなしいけど、マウンドに上がると人が変わる」 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

松川は古田敦也になれるか

 インサイドワークは「頭脳プレー」や「配球」という意味で使われる。川崎氏は高卒2年目からコンビを組んだ古田氏のリードに引っ張られたと振り返る。

「古田さんは『こいつはこの場面では、この球を投げたいな』とわかるので、サインが決まるのに苦労しませんでした。だからピッチャーとしても、イライラしないですぐに投げられるんですよ。

 ファームの若手がキャッチャーだと、そうはいきません。ピッチャーの特徴をわかっていないから、サインが合わなくて集中力に欠けることがある。キャッチャーのサイン次第で、ピッチャーが気分よく投げられるかが決まってきます」

 松川が出すサインに、佐々木はうなずいてテンポよく投げていく。その裏にあるのが、捕手の"インサイドワーク"だ。川崎氏が続ける。

「松川はすごくよくやっていますが、これから覚えていくことはたくさんあります。ピッチャーのクセや球種、相手バッターはどんな球を投げさせたいと思っているのか......などですね。

 マウンドの投手と捕手は直接会話ができないので、アイコンタクトでのコミュニケーションが大事になってきます。それができていたのは古田さん。あの域に達するのは並大抵のことではないけど、ピッチャーの気持ちを読み取っていくのは非常に大事です」

 今季のプロ野球は「投高打低」の傾向が強いなか、最も気を吐く打者のひとりが日本ハムの松本剛だ。打率.355のハイアベレージを残し、2位の今宮健太(.297)を大きく引き離している。

 高卒11年目の松本は、2017年オフのアジアプロ野球チャンピオンシップで日本代表に選ばれるなど期待されてきたが、その後は伸び悩んだ。それが、新庄剛志監督が就任した今季、誰より打ちまくってオールスターにもファン、選手間投票で選ばれている(左ひざの骨折で出場は絶望的)。

 好調の秘訣はどこにあるのか。川崎氏の見解はこうだ。

「振りがコンパクトで、ひじをたたんでうまく打っています。タイミングの取り方がうまいです。足も速いですしね。この打率をどこまで維持できるかに注目しています」

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