川崎憲次郎が選んだパ・リーグ旬の6人。「ふだんはおとなしいけど、マウンドに上がると人が変わる」 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

7割の力でアウトを取る佐々木

 投手にとって7割の力の入れ具合は、キャッチボールを強めに投げたくらいだと川崎氏は言う。そこにコントロールの秘訣もある。

「マックスで投げなくても通用するから、ピッチング動作における体のコントロールもうまくいっていると思います。身長190cmと大きいのに、あれだけ左足を高く上げてバランスを崩さないのが、まずすごい。右足からしっかり立ち、投げる時の基本ができています。それで体重移動がうまくいっているので、コントロールがつきやすいんだと思います」

 多くの投手の場合、打者を抑えるためにはできるかぎり出力を求める必要がある。対して、佐々木は7、8割の力でもアウトにできる。そこが「素質」の違いだと川崎氏は言う。

「俺らみたいにマックスの力でやらないと通用しないピッチャーだったら、ぐんぐん力をかけていくからどうしても体の動きがブレて、コントロールにもズレが出ます。でも、朗希は7、8割でいいから、下半身でコントロールしてあげれば体がブレることはない。

 気持ち的にも楽だと思います。ピッチャーとすれば、『だいたいあの辺に球が行っていれば打てないでしょ』という安心感もあるんですよね。俺が朗希クラスの素質を持っていれば、そういうピッチングをしたいですよ。でも、限界があってできない。それをしているのはすごいですよ」

 圧倒的な佐々木のピッチングをうまく引き出しているのが、高卒1年目の捕手・松川虎生だ。川崎氏は「肩も強いし、178cm、98kgと大きい割にフットワークもいい。ブロッキングもしっかりしている。高校生離れしていて、今後が楽しみです」と話した。

 高卒捕手として史上初めてオールスターにファン投票で選出されたが、さらなる成長に不可欠なのが"インサイドワーク"だ。川崎氏が説明する。

「よく『インサイドワーク』って言われるけど、正解はあってないようなものです。要するに、打ち取れば"当たり"。たとえ真ん中でも『いい球を投げたな』って言われる。普通は真ん中に投げるのはダメなんですけどね。そういうことができるのが古田敦也さんでした」

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