高木豊がセ・リーグの交流戦を総括。最下位の広島が「真っ先にやめたほうがいい」起用法、ヤクルト追走の一番手の球団とは?

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

高木豊の交流戦総括
セ・リーグ編

 今年の交流戦は、ヤクルトが4年ぶり2度目の優勝を果たした。パ・リーグ全球団に勝ち越しての"完全優勝"は史上初。昨年の日本一チームがあらためて強さを示す形となった。
広島が大きく負け越しながらも、セ・リーグが55勝53敗と2年連続で勝ち越したが、各球団の戦いぶりはどうだったのか。かつて大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊氏に、セ・リーグ球団の交流戦総括と今後の課題について語ってもらった。

交流戦最後の西武戦で大差をつけられ、天を仰ぐ佐々岡真司監督(中央)交流戦最後の西武戦で大差をつけられ、天を仰ぐ佐々岡真司監督(中央)この記事に関連する写真を見る***

――優勝したヤクルトからお聞きします。交流戦を14勝4敗と大きく勝ち越し、リーグ2位の巨人とのゲーム差は7に(6月12日時点。以下同)。最優秀選手賞(MVP)に選出された村上宗隆選手を中心に、各選手がしっかりと役割を果たした印象です。

高木豊(以下:高木) 隙がないですよ。1試合を残して優勝を決め、最後の試合(6月12日のソフトバンク戦)は消化試合みたいなものでした。優勝という達成感を味わうと気が緩んでしまうものですが、最後の試合もヤクルトは勝ちきりましたね。

 中村悠平の好リードもあって高橋奎二が完封勝利と、最高の締めくくりでした。打つほうは少し気が抜けたような感じもありましたが、勝負所ではしっかりと仕事をしていた。あらためて「強いな」という印象を受けました。

――強力な打線が注目を集める一方、鉄壁のリリーフ陣の奮闘も際立っていました。

高木 リリーフ陣は6月に入ってから無失点。ローテーションを作れるぐらい、リリーフの投手は豊富ですね。高津臣吾監督のうまいところは、例えば、リリーフ投手の今野龍太が登板過多になっていない時でも「今日の試合は、今野以外の投手を使おう」といったように、先を考えた柔軟な対応ができること。

 捕手も中村悠平と内山壮真の2枚になってきました。内山は「心もとないな」と思って見ていると、「中村よりもいいかもしれない」と思わせることもありますね(笑)。とにかく内山がいると、中村も休むことができます。若手ではショートの長岡秀樹も、最初は守備が不安でしたが慣れてきています。本当に選手層が厚く、今のところ死角は見当たりませんね。エースとしての活躍が期待された奥川恭伸を欠いても、今の位置にいるわけですから。

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